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組織のさらなるカイゼンを。SmartHRの「交代制スクラムマスター」制度のお話

イメージ画像:組織のさらなるカイゼンを。SmartHRの「交代制スクラムマスター」制度のお話

こんにちは、プロダクトデザイングループのkgsiです。普段はnoteでデザイナー向けの記事を書いたりしてますが、今回は開発組織の取り組み紹介なので、テックブログデビューとなりました、ドキドキしますね。

SmartHRはすでにスクラムに関連する記事が多数公開されているとおり、開発手法としてスクラムが採用されています。
スクラムはすでに開発組織内に十分浸透し、大小さまざまな取り組みが行われていますが、この記事ではSmartHRの組織・チームを活性化を狙った取り組みのひとつ「交代制スクラムマスター」制度の紹介と、実際にスクラムマスターとなって取り組んだこと、その感想を共有したいと思います。

そもそもスクラムマスターって?

制度紹介の前に「そもそもスクラムマスターって何だっけ?」という方向けに説明しておきますと...
スクラムマスターは「スクラムの促進・支援に責任を持って、スクラムチームが生み出す価値の最大化させるために、パフォーマンスを発揮できるようにする」役割を担います。詳しくはスクラムガイドを参照してください!

スクラムガイド2020(8ページ目を参照) https://scrumguides.org/docs/scrumguide/v2020/2020-Scrum-Guide-Japanese.pdf

交代制スクラムマスターって何?

本題です。「なるほど、スクラムマスターはわかったけど交代制スクラムマスターって何?」という話ですが、「交代制スクラムマスター」とは、SmartHRの開発組織独自のカイゼン活動・取り組みです。具体的には、スクラムマスターのような動き方ができる人を組織内に増やし、 各チームのカイゼン、チーム間連携、開発組織全体のカイゼン、さらには会社全体をより良くしていくための試みです。

活動の中身ですが「交代制」と銘打っている通り、2〜3ヶ月の間、所属しているスクラムチーム内でスクラムマスターとなって活動し、期間が経ったら次のチームメンバーへ交代する...といった流れになります。所属チーム内で交代していくことで、スクラムマスターのようなマインドと動き方ができる人を増やすのが狙いです。

ちなみに求められるハードルが高い?なれる人が限られる?と思われるかもしれませんが、そんなことはありません※。
この制度はスクラムやアジャイルな開発手法に興味があったり、自分の意志でチームのカイゼンに取り組んでみたい、という人であれば誰でもスクラムマスターになれます。職種も関係なく、プロダクトエンジニアはもちろん、プロダクトデザイナーでもUXライターでも、開発に携わるメンバーなら誰でも立候補可能です。

※今回紹介する取り組みとは別で「スクラムマスター養成講座」というワークショップが有志によって定期的に開催されています。そちらに参加済みなことが唯一の参加条件となります。

具体的な活動内容

「交代制スクラムマスター」になったら何をやるの?という話に移りますが、全体で行われる活動と、個人が独自に考え取り組む活動があります。

全体活動:週一のふりかえり会

「交代制スクラムマスター」の活動として、唯一定期的に開催されるイベントです。各チームのスクラムマスターが集まり、活動内容の共有、お悩みを相談します。

フレームワークとして、やったこと・わかったこと・気になること・次にやること(YWKT)に沿って話しますが、特にやり方は決まってはいません。1チームの悩みや相談にフォーカスして話す場合もあれば、気づいたことの共有で、時間が過ぎることもあります。
所属チーム内で発露しづらい、スクラムマスターとしての悩みも雑に相談できる、大事なイベントです。

交代制スクラムマスター制度のふりかえり会の会場の様子、Miroを使って行います。
交代制スクラムマスター制度のふりかえり会の会場の様子、Miroを使って行います。

個人活動:いろいろ

個々人の活動については決められたルールはなく、各自の裁量で活動します。動き方は所属するスクラムチームの状況や、取り巻く環境によって異なるので、特に決まりもありません。チームの活性化と障害を取り除くため、それぞれが自律駆動して取り組んでいきます。ここでは一例として、自分が所属するチームを軸に実施したことを紹介します。

  • 各スクラムイベントの調査
    • 理解の足りなかったスクラムイベントの調査をするため、ドキュメントを見たりまとめてみる
    • 別チームのスクラムイベントの見学
  • 現状と期待を知るための1on1
    • 交代制スクラムマスターになったばかりのとき、チームの状態やスクラムマスターへ期待することを1on1形式で行ったヒアリング
  • チームメンバーへのファシリテーションフィードバック
    • ファシリテーション経験が浅いメンバーへのフィードバック
  • チームビルディング支援
    • ドラッカー風エクササイズの実施など
  • PO(プロダクトオーナー)の活動支援
    • チーム外で行われるカイゼン活動の情報共有や、意識合わせ

ちなみに他のスクラムマスターたちの活動を抜粋すると、以下のような取り組みを実施していました。

  • プロダクトの「完成の定義」のすり合わせ支援
  • チームレトロスペクティブの改善提起
  • スクラムマスターとしての活動共有
  • 別チームの動きを所属するチームに共有

3ヶ月やってみたkgsiの感想

各文献にも書かれていますが、スクラムマスターを開発メンバーが兼任することは推奨されていません。なぜなら、スクラムチーム内でがっつり作業や目の前の課題に向き合っていると、俯瞰した目線で問いを投げることが難しいからです。

しかし、そんな前提がありつつも、「スクラムマスター」という役割を体験する、ということには価値を感じました。
なぜなら普段意識しにくいであろう、チームの性格や傾向、人と向き合うことの大切さと難しさ、チーム外で起きている動きへ目線を向けることができたからです。

定性的な感想ですが、「交代制スクラムマスター」制度のおかげで、参加前より目線が広げられたように思います。
また、これは事実かつこの活動のセールスポイントではありますが、スクラムマスターを務める期間中に起きた、プライベートなパートナー(妻)との行き違いを、活動で学んだ知見を使って迅速に収めることができました。
この制度を利用すれば、人と向き合う難しさと大切さを学べます!(ホントですよ)

最後に

以上「交代制スクラムマスター」制度と、実際に取り組んだ内容の紹介と感想の紹介でした。
スクラムを杓子定規に実施するだけでなく、根本的な考え方や思想をインプットして、個人もチームも、そして会社全体もアップデートしていこうとする、SmartHRの開発組織の姿勢が少しでも伝われば幸いです。

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