2024年11月に入社しました、プロダクトエンジニアの kaito0046です。
突然ですが、あなたは日頃ファシリテーターを務める機会はどのくらいありますか?
私の所属する採用管理機能開発チームでは、毎朝行うデイリースクラムに加えて毎日何かしらのミーティングがあります。ほとんどのミーティングではファシリテーターが必要なため、ローテーションしていても3〜4日に一度はファシリテーターを務める機会があります。SmartHR 社内では、チーム間で差はあるものの、比較的厳格なスクラム開発が行われていることもあり、同様にミーティングが多く開催されていることと思います。
私は現所属チームには2月に配属されたのですが、配属後わりとすぐに複数のメンバーから「ファシリテーションがうまい・安定している」とのフィードバックをもらいました。また、SmartHR 入社前に所属していた株式会社万葉でも同様の評価を受ける機会がしばしばありました。
ソフトウェアエンジニアになる前は営業職(非IT系・メーカー)に従事していた経験もあり、人に話をすることは比較的得意だと自負していましたが、ファシリテーションについては客観的に見ても得意だと言って良さそうです。
そこで、私がファシリテーションにおいて気をつけていることをいくつか紹介します。
その1: 会のゴールを冒頭に宣言する
会のゴールを冒頭で宣言することで、参加者がゴールを意識し一丸となれるようにします。「ゴール=終了条件」と言い換えてもよいですね。「この会の目的は〜です」「この会では〇〇を決めます」と高らかに宣言しましょう。なお、ゴールが自明な場合は省いてもよいと思います(定例報告会やデイリースクラムなど)。
加えて、ゴールを時間内に達成できない場合のアクションを想定しておくと万全です。議論が紛糾してまとまらないときや、終了時刻が迫っているときに受け身を取りやすくなります。想定するだけでなく、参加者に共有しておけるとさらに良いでしょう。
テーマによっては「時間内にゴールできないことが、話し始めてからわかった」という場合もあります。そのような場合に備え、「残り10分の時点でまとまらなそうなら、議論をそこで止めてネクストアクションの協議に入る」「時間内に決まらなかったらリーダーを中心に非同期でやり取りして決める」などとあらかじめ決めておけると良いです。
その2: 参加者に「いま、何をしてほしいか」をはっきりと伝える
ミーティング中、「あれ、いま何をする時間なんだっけ?」と迷ったことはありませんか?私はあります。
仮にアジェンダが存在しても、参加者に「いま、何をしてほしいか」を丁寧にナビゲートすることで参加者が迷わずに済み、余計な消耗や「いまなんの時間でしたっけ?」という確認の手間を省けます。
例えば「〇〇について意見を述べてください」「良いと思う付箋に各自投票してください」「ポイント見積もりのシンキングタイムです」などと、その場面で求めたいアクションを伝えましょう。「〜してください」「いまから〜します」がキーワードですね。
また、参加者に問いかけたいときも、はっきりと「〇〇って、どう進めることになってましたっけ?」と質問しましょう。「〇〇ってどうなってたっけな...」と独り言のように発するのは、参加者がアクションに迷うのでよくありません。特定の誰かに対する投げかけなら、「誰に聞いているんだ?」とならないよう「XXさん、これって〜」というふうにはっきりと名指ししましょう。
その3: 発言は短く、明瞭にする
発言の明瞭さは、上に挙げたその1・その2の成否に大きく影響します。「何をしてほしいか」を説明する意識があっても、説明そのものが回りくどいと参加者に伝わらず、意味を成しません。短く明瞭な発言を心がけましょう。例えば以下のように言い換えられます。
❌ 「えーと、そうですね。みなさんにお願いしたいことなんですけれども、この案件について、できれば各自お一人ずつ、ご意見をいただけたらなと思うのですが...」
⇛ ⭕️ 「この案件について、順番にご意見をお願いします」
❌ 「時間が押してきているような気がするので、できれば少し早めに進行できたらいいかなと思うのですが...」
⇛ ⭕️ 「10分押しています。次のアジェンダは手短にお願いします」
クッション言葉を使わずに短く話すのは少し勇気がいるかもしれませんが、遠慮がちな言い回しや前置きを省いて端的に伝えることで、参加者にも意図が明確に伝わります。
その4: 発散段階と収束段階を意識的に切り替える
議論の過程には発散と収束があります。
- 発散: あるテーマや課題に対して、自由な発想で多くのアイデアや可能性を広げていく段階
- 収束: 発散段階で生まれた多くのアイデアや選択肢を整理・分析し、最も適切と思われるものを選び出していく段階
良い議論のためには、適切なタイミングで発散と収束を意識的に切り替える必要があります。
特に、ゴールへの到達を急ぎすぎると収束にばかり意識が向いてしまい、発散不足になりやすいです。発散が不十分だと参加者の「言いたいことを言えなかった」「十分に議論できなかった」という不満を生むおそれもあるため注意が必要です。
その5: 議論に溺れないために「ファシリモード」と「一般参加者モード」を使い分ける
白熱した議論に無防備にのめり込むと、ファシリテーターとしての役割をつい忘れてしまいます。すると、ファシリ不在のカオスが生まれてしまいます。
アジェンダをどこまで消化できていて、残り時間は何分で、会のゴールにどの程度向かえているか?発散具合は十分か?といった、場を俯瞰する立場としての「ファシリモード」の視点を見失わないようにしましょう。
そのためには、なにか発言する前に「いま自分は ファシリテーター or 一般参加者 のどちらのモードで発言するのか?」を思い浮かべるのが有効です。
その6: 参加者に残り時間を「守らせる」
議論が盛り上がるとついつい時間をオーバーしがちです。「守らせる」というと言葉が強いかもしれませんが、時間を守るのはファシリテーターだけではなく参加者全員の責務です。一方、その責務を意識させるのはファシリテーターの役目といえるでしょう。
私は以下のテクニックをよく用います。
- 冒頭で終了時間を宣言し、参加者に認識してもらう(例: 「この会はXX:XXまでですね」など)
- アジェンダが複数あるなら、それぞれのアジェンダの時間配分を冒頭に宣言し、参加者に認識してもらう
- 進行中、こまめに「あと〇〇分です」と伝えて参加者に残り時間を意識してもらう
- 時間が押し始めたら、ためらわずに「〇〇分押しているので、ちょっと巻き気味でいきましょうか」と参加者に意識付けする
- 画面共有をしているなら、カウントダウンタイマーを表示しておく
その7: 参加者の反応を伺う
参加者の反応を伺いながら話すペースを調整したり、発散・収束の段階を切り替えられるとよりスムーズな会にできます。
対面の場合は眼前の相手を見ればよいですが、オンラインミーティングの場合は少し工夫が必要です。
まず、参加者がカメラを ON にしている場合は、なるべく顔を見ます。 ファシリテーション中は自分の画面を共有していることが多くウインドウ領域に余裕がないためか、実践している人はそこまで見かけません。しかし、個人的には参加者の表情・目線や身振り手振りは非常に重要だと考えており、できる限り見るようにしています。人間は聴覚よりも視覚から情報を得るのが得意ですからね。
また、Slack などのチャットツール上で、ミーティング中にそのミーティング用のスレッドを作成し、直接発話する以外のサブコミュニケーション経路を用意しておくのも有効です。わざわざ発話するほどではない内容も書き込むよう促すことで、より多くの反応をつぶさに得られます。さらに言えば、このスレッドも画面に映すのがオススメです。参加者がそのスレッドの存在を意識してくれて、より書き込みが促進されるためです。
まとめ: ファシリテーターの役割は「意識付け」である
ここまでの内容にある程度共通するのは、ファシリテーターの役割は参加者に対して 残り時間/目的/積極的な発言 etc を意識付けすることだと言えるかもしれません。これらの意識付けによって、時間を守りつつも議論の場を活性化させ、目的達成の確度を上げられるとよいですね。
かくいう私もまだまだです。これをお読みのみなさんも、充実した議論ができるようにお互いがんばっていきましょう!
We Are Hiring!
SmartHRでは一緒にプロダクトを作っていく方を募集しています! 少しでも興味があれば、是非カジュアル面談のお申し込みからよろしくお願いします。