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ユーザー信頼をどうつくる? CRE CAMP参加と登壇レポート

こんにちは!CREユニットメンバーの16bit_idolです。 SmartHRでは、6月に初めてCREユニットが誕生しました。 今後は、SmartHRでもCREを盛り上げていきたい気持ちが強く、活動をどんどん発信していきたいと思っています!

2025年6月26日(木)、CRE(Customer Reliability Engineering)に関わる人々が集うイベント CRE Camp #1 ユーザー信頼性を支える現場の知見LT大会 に参加しました。 今回はSmartHRのCREユニットチーフである@a-know(井上大輔)さんの登壇もあり、学びあり、共感ありの熱い時間を過ごしました。

記念すべき第1回の様子を参加者の目線からお届けします。

SmartBankさんのエントランスで記念撮影する a-knowさん

CRE CAMPってどんなイベント?

CRE CAMPは、Customer Reliability Engineering(CRE)やカスタマーサポート・サクセス(CS)に関わる技術者が集まり、ユーザー信頼性の向上や運用改善についてカジュアルに学び合うコミュニティです。 CREやCSに携わるエンジニアが多く参加しています。 運営の中心は、MIXIの星野将さんをはじめとするLoglassやSmartBankなど、各社でCREを実践されているエンジニアの皆さんです。

a-know さん、登壇レポート

今回のCRE CAMPでは、SmartHRのプロダクトエンジニア @a-know(井上大輔)さんが登壇し、「CREを立ち上げるにあたって考えたこと・やったこと」というテーマで発表しました。

CRE立ち上げのリアルと向き合い

@a-know さんは、過去に2度のCRE立ち上げ経験があり、今回の発表では「なぜうまくいかなかったか?」「どんなことが"難しい"と感じたか?」といった過去の経験を踏まえた上で、SmartHRでのCREユニットの立ち上げにおいて特に意識したことを率直に語りました。

語られていた難しさ:

  • CREの専門性がわかりづらく、"何でも屋"になりがち
  • 他職種とどう違うのか、社内外での説明が難しい
  • 事業への貢献実感を持ちづらい

こうした課題に対し、Customer Facing職(CS・サポート・セールス)でのこれまでの経験に加え、事業目標を徹底的に読み込み、ブレークダウンしていくことで、地に足のついた方法で挑んだことが紹介されました。CREをただの「問い合わせ対応エンジニア」ではなく、顧客との信頼関係をエンジニアリングで築く専門職として確立しようとする思いが語られました。

CREは「顧客の状況を観測し、信頼を高める役割」

@a-know さんは、CREの役割を次のように言語化しています。

「CREとは、ソフトウェアエンジニアにカスタマーサクセスを任せたときに起こるものである」

これは、SREの定義である 「SREとは、ソフトウェアエンジニアに運用チームを任せたときに起こるものである」 になぞらえた表現で、CREが担うべき「顧客の観測と信頼のコントロール」という視点をわかりやすく表しています。

また、SmartHRのCREユニットでは以下の4つを専門性の「四本柱」として定義しています:

  • Customer Observability(顧客の見える化)
  • トイルの削減
  • 顧客信頼の砦としての存在
  • CS Opsとしての支援機能

SmartHRのCREチームでは、先述の「四本柱」に対して、それぞれ3〜4段階の成熟度レベルを設定し、成長の道筋を明確にしています。 現在はまだ成熟度レベル0〜1の段階ですが、「走りながら育てていく」チームとしてのリアルが共有されました。

CREの「キャリア」を語ってくれた貴重な発表

私が特に印象的だったのは、「CREとしてのキャリア」や「専門性の確立」についてしっかりと語られていたことです。 これまでのイベントなどでは、CREの実務や施策の話は多く見かける一方で「CREとしてどんなスキルを育て、どんな風にキャリアを描いていけるのか」という視点に触れる機会はあまり多くない印象でした。 今回の発表では、Customer Facing職を一度経験してみたうえで、改めて「CREの専門性とは何か?」を再定義し直したプロセスが共有されており、キャリアの選択に悩んでいる参加者にとっても大きな示唆となったのではないでしょうか。

発表をする a-know さん

他社登壇レポート

続いて、他社の登壇セッションをご紹介します。

急成長を支える基盤作り〜地道な改善からコツコツと〜

登壇者:株式会社スマートバンク すてにゃんさん

急成長を遂げるスタートアップにおいて、CREチームがどのように技術的な"基盤"を整えていったかというリアルが詰まった発表でした。 問い合わせ対応の効率化、ログ基盤の整備など、一つひとつの地道な改善が大きな安心感を生む──まさにCREの力を感じる内容でした。

「いかに地味な活動を価値として認識・共有してもらうか?」という点は、SmartHRとしても非常に共感の多いテーマと感じました。

ダイニーのレジの緊急事態用の機能について

登壇者:株式会社ダイニー 畑田 祥太さん

現場感あふれる印象的な発表でした。飲食店向けレジシステムにおける"もしもの時"の備えとして、どのようなリスクシナリオを想定し、実装・運用しているかが語られました。

「顧客が"困らない"ことが成果になる」という視点が、CREの重要な役割を再認識させてくれました。

エンジニアリングを民主化するCREチームでありたい話

登壇者:MNTSQ株式会社 二宮 慎さん

CREがプロダクト横断的に動くことで、エンジニアでなくても、自分の言葉でプロダクトを説明できる“土台”を作ることができる —— という提言が印象的でした。 CSや他部門に業務が属人化しやすい中で、誰もが安心して対応できる環境を技術で支える。 そんな、エンジニアリングの力でカルチャーを変えていくCREの姿が力強く伝わってくる発表でした。

感想

CREという言葉に込められた意味や可能性は、企業やチームによってさまざまでした。 今回のCRE CAMPでは、自社の取り組みを振り返ると同時に、他社のアプローチにも多くの学びがありました。 他社の工夫や試行錯誤を知ることで、「うちだったらどうだろう?」と自然と考えてしまう、そんな刺激的な時間になりました。

引き続き、私たちも「顧客からの信頼性をどうつくるか」「それをどう技術で支えるか」に向き合いながら、チームとしてのCREを育てていきたいと思います。 SmartHRでのCREユニット立ち上げの背景や、これから取り組んでいくことについては、別の記事でじっくりご紹介する予定です。お楽しみに!

イベントに参加された皆さま、そして運営・登壇者の皆さま、素敵な時間をありがとうございました!

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