こんにちは!SmartHRで基本機能(人事マスタ関連)を開発しているhamadaです。
この記事では、2026年5月22日に東京・六本木のSmartHR Spaceで開催した「ルールルルルルRubyKaigi 2026事後勉強会 ── したっけ、東京で!」の様子をお届けします。

なお、「ルールルルルルRubyKaigi 2026事前勉強会 —— 初参加でもなまら歓迎!」については以下の記事でレポートしています。ぜひこちらも読んでいただけると嬉しいです。
開催概要
SmartHRは、RubyKaigi 2026にHangout Sponsorとして協賛し、「ルールルルルルルビーカイギ」をテーマにさまざまな企画を行ってきました。会期前に開催した「ルールルルルルRubyKaigi 2026事前勉強会 —— 初参加でもなまら歓迎!」、会期中に実施したたまり場「五稜郭」、会期翌日に実施した「函館市電LT」に続く最後のイベントとして、この事後勉強会を開催しました。
事後勉強会は、「RubyKaigi 2026での出会いや学びを胸に、今度は東京でふたたび集まりましょう!」という思いを込めて、「したっけ、東京で!」と題しました。「したっけ」は北海道の方言で、「またね」という意味です。
事後勉強会では、事前勉強会に引き続きRubyKaigiチーフオーガナイザーの松田明さんも登壇してくださり、RubyKaigiの初参加者、RubyKaigi2回目以上の参加者、スピーカーやコミッターなど、さまざまな方からの熱いLTがありました。
開始前の様子
受付では、キュートな狐がイカを釣る事後勉強会限定のSmartHRの増えてくアクキーをお配りしました。
また、会場にたまり場「五稜郭」で好評だった「モルック」と「IKATSURUBY」を再現し、開始前に参加者に楽しんでいただきました。
こうして、お祭りムード満載でイベントがスタートしました。



オープニング
司会進行を務めたのは、新卒2年目のSmartHRプロダクトエンジニアであるnoriさん。
自身も2回目のRubyKaigi参加となったnoriさんは、リラックスしたムードで「会場にどんな人が集まっているか」を確かめる挙手アンケートを実施。初参加の方からベテラン、さらにはRubyコミッターや運営スタッフまで、会場に集まった多くの参加者を巻き込みながら、イベントのスタートを温かく盛り上げてくれました。


ポストモーテム枠
最初のブロックは、ポストモーテム枠のLTです。
ドラ係は、RubyKaigi 2026で「Guide to getting started walking source codes of CRuby」を発表し、「CRuby quest 〜 Rubyのぼうけんのしょ」の著者でもあるyouchanさんでした。

yancyaさん:あのアレの”個人的な”振り返り
最初は、yancyaさんによる「あのアレの”個人的な”振り返り」という発表でした。
18時間かけて船で北海道へ渡るカスタムスポンサー企画「Rubyist Bulk Reload 2026」の直前に地震が発生し、その影響でイベントが中止・下船になり、にもかかわらず車やバイクは船に乗せたまま出航となった緊迫の舞台裏が語られました。乗船前の判断体制や指揮系統の明確化の重要性、旅行代理店への一任といったリアルで貴重な教訓を共有しました。
来年は「神戸〜宮崎」でのリベンジを誓うyancyaさんの姿に、このイベントに参加予定でバイクだけが旅をして戻ってきたというドラ係のyouchanさんからも、「面白い体験をさせてもらった」と温かい労いの言葉が贈られました。

RubyKaigi 2026が初参加だった方によるLT
次のブロックは、RubyKaigi 2026が初参加だった方によるLTです。
ドラ係は、RubyKaigi 2026のスポンサーブースで「SNOW COLLECTORS」というゲームを披露していたkaibaさんでした。

a2cさん:Inspired By RubyKaigi (EN)
最初は、SmartHRのa2cさんによる「Inspired By RubyKaigi (EN)」という発表でした。
今回のRubyKaigi 2026が初参加だったというa2cさんは、HASUMIさんのPicoRubyセッションに強い刺激を受け、自身も「Kaigi Effect」によって新たなプロダクト開発に挑戦した、という内容を「全編英語のLT」で披露しました。JavaScriptを一切使わずにRubyとCSSだけで動くリアルタイム投票アプリを開発し、来年の宮崎で食べたいものをその場で投票してもらうデモを見事に成功させました。
10年前の自身の初参加時を思い出したというドラ係のkaibaさんからも、AI時代だからこそ自ら手を動かし、英語で挑戦する姿勢に刺激を受けたという熱い感想が寄せられました。

asanoさん:初めてのRubyKaigiはこう見えた
次は、asanoさんによる「初めてのRubyKaigiはこう見えた」という発表でした。
ギフティの新卒2年目エンジニアであるasanoさんは、今回が初のRubyKaigi、初の函館、そして本日が初のLT登壇という「初めて尽くし」の状態でステージに立ちました。RubyKaigi 2026参加前は社内外のベテランから「内容は難しいから2割分かればいい方」と言われて不安を抱えていたものの、いざ現地に飛び込むと会場に溢れる「Rubyへの愛と熱量」に深く感動したと語りました。特に「Ruby Committers and the World」ではコミッターたちの生議論に鳥肌が立ち、その感動から「Kaigi Effect」が発動。Webブラウザ上で人生初「Lチカ」をPicoRubyで実装した快挙が報告されました。
もっとRubyを愛したい、そして英語も勉強したいと語る初々しくも熱い姿に、会場全体が深く共感していました。

RubyKaigi 2026が2回目以上参加だった方によるLT
次のブロックは、RubyKaigi 2026が2回目以上参加だった方によるLTです。
ドラ係は、Asakusa-bashi.rbsなどのコミュニティ活動や、TypeProfなどのOSSにコントリビュートしているsinsokuさんでした。

NGTさん:Kaigi Effect Effect
最初は、SmartHRのNGTさんによる「Kaigi Effect Effect」という発表でした。
SmartHRのフロントエンドエンジニアであるNGTさんは、2回目のRubyKaigi参加となる今年、カスタムスポンサー企画として自作ゲーム「IKATSURUBY」を開発し、RubyKaigi 2026の期間中に述べ970人ものプレイヤーを沸かせました。mruby製のゲームエンジンやPRK Firmwareによる自作コントローラーを用いたこだわりの開発を通じ、ハードウェアの凄さを「「言葉」でなく「心」で理解できた!」と語りました。
「Kaigi Effectによって何かを作ることで、次のRubyKaigiがもっと楽しめるようになる」という「Kaigi Effect Effect」を提唱し、会場からは大絶賛の声が上がりました。

うきのこ。さん:AIとRubyの静的型付け
次は、うきのこ。さんによる「AIとRubyの静的型付け」という発表でした。
3回目のRubyKaigi参加となるうきのこ。さんは、直近でRBSやSteepの整理を行っていたことから、今回は「型関連」のセッションを主軸に聴講し、「AI時代においてRubyの型はどうなるのか?」という壮大なテーマについて考察を深めました。AIがソースコードを書く時代においてIDE支援のニーズは減るものの、非決定的に動くAIだからこそ静的型付けによる「保証」は必要であり、今後は利用コストや記述を抑えられる型推論(TypeProfなど)の重要性が増すのではないかと深い考察を披露しました。
時間が足りなくなるほどの知的な内容に、惜しまれつつもタイムアップのドラが鳴らされる展開に。ドラ係のsinsokuさんも「最後まで聞きたかった」と深く聞き入っていました。

RubyKaigi 2026スピーカーの方によるLT
次のブロックは、RubyKaigi 2026スピーカーの方によるLTです。
ドラ係は、RubyKaigi 2026で「ruby.wasm can also enable JavaScript to call Ruby libraries.」という発表をしたledsunさんでした。

udzuraさん:The Box Garden 〜 Struggles Since 2016 〜
最初は、RubyKaigi 2026で「Uzumibi: Reinventing mruby for the Edges」という発表をしたSmartHRのudzuraさんによる、「The Box Garden 〜 Struggles Since 2016 〜」という発表でした。
10年前の初登壇から英語発信を続けるベテランのudzuraさんは、Cloudflare Workers等で自作のmrubyを動かすプロジェクト「Uzumibi(埋火)」の歩みを振り返り、技術をシンプルに分解して粘り強く取り組む大切さを語りました。その後、2027年に向けて開発しているOSSとして、CRubyとLinuxのセキュリティ関連技術を組み合わせた「Vivarium」を紹介し、Rubyスクリプトの中身を見ることなく出力された監査ログをClaudeに渡すだけでAIが攻撃分析を行う最新の仕組みを実演しました。
Uzumibiをバンド名から取るエモい命名秘話と、最新作のVivariumはGeminiに名前を考えてもらったというチャーミングなオチに、会場からも笑みが溢れました。

Kazuho Okuさん:RubyでRuby拡張を書いたらRubyより35倍速になったってどういうこと??
次は、RubyKaigi 2026で「Rapid Start: Faster Internet Connections, with Ruby's Help」という発表をしたKazuho Okuさんによる、「RubyでRuby拡張を書いたらRubyより35倍速になったってどういうこと??」という発表でした。
Kazuho Okuさんは、RubyKaigi 2026のMatz Keynoteで紹介されたAOT処理系「Spinel」に触発され、帰りの新幹線で「RubyでRuby拡張を書く」実験を敢行。プロトコル実装や正規表現のようなステートマシンであれば、Spinelを使うことで「RubyでRuby拡張が書ける」と思いつき、CRubyのGCと競合して遅くなるのを防ぐため、Spinel内ではGCを発生させずに標準出力へ結果を吐き出す独自のラッパーを構築。その結果、ピュアRuby比で驚異の35倍、CRuby比でも1.68倍の高速化を達成した正規表現エンジン(regexpinel)を提示しました。
まるで魔法のような技術的ブレイクスルーの連続に、会場からは驚きの声が上がり、多くの参加者が前のめりになって聞き入っていました。

Rubyコミッターの方によるLT
次のブロックは、Rubyコミッターの方によるLTです。
ドラ係は、RubyKaigi 2026でオーガナイザー兼NOCチームリードもされていた、Rubyコミッターであるsorahさんでした。

Yuichiro Kanekoさん:Modding RubyKaigi for Myself
最初は、Yuichiro Kanekoさんの「Modding RubyKaigi for Myself」という発表でした。
冒頭の自己紹介では、自身が5月からSmartHRにジョインしたことがサプライズ発表されました。RubyKaigi 2026のスピーカーでもあったKanekoさんは、長年RubyKaigiに関わってきた視点から、その面白さをオーガナイザー・スピーカー・スポンサー・地域情報の4つのコンテキストから紐解きました。さらに「RubyKaigiは最短経路で往復しなくてもいい」という持論のもと、今年は羽田から稚内を経由してひたすら鉄道で函館を目指すという超過酷ルートを移動し、発表資料の半分を稚内で仕上げたという爆笑エピソードを披露しました。
「RubyKaigiというイベントそのものを自分でガチャガチャいじって面白くしよう!」という旅情と熱意にあふれる、最高に楽しいLTでした。

成瀬さん:net-httpのHTTP/2対応とRubyのエコシステムについて
次は、成瀬さんによる「net-httpのHTTP/2対応とRubyのエコシステムについて」という発表でした。
Rubyコミッターの成瀬さんは、1999年から続く標準添付ライブラリである「net-http」のHTTP/2対応への現在進行形の挑戦を語り、多重化やヘッダー圧縮のメリットを解説しました。そしてAI時代だからこそ、Railsのようにレールを敷いて思考を減らしてくれる「エコシステム」や「コミュニティ」の存在が今まで以上に重要になると説きました。多様な人がアイデアを持ち寄り、手元で動いたものをコミュニティへ還元していく環境こそが、これからのAI時代に必要不可欠であると熱く語りかけました。
長年議論され続けてきたnet-httpのインターフェースという深い課題に対し、リリースマネージャーとしての責任感を滲ませつつも、「みんなでより良いエコシステムを広げていこう」とコミュニティを鼓舞する力強いメッセージが胸に刺さりました。

RubyKaigiオーガナイザー/NOCの方によるLT
次のブロックは、RubyKaigiオーガナイザー/NOC(Network Operation Center)の方によるLTです。
ドラ係は、RubyKaigi 2026でNOCチームとして活躍されたterfnoさんでした。

osyoyuさん:Wi-Fiはどこから来たのか、Wi-Fiは何者か、Wi-Fiはどこへ行くのか
最初は、SmartHRのosyoyuさんによる「Wi-Fiはどこから来たのか、Wi-Fiは何者か、Wi-Fiはどこへ行くのか」という発表でした。
RubyKaigi 2026参加者の快適なネットワーク環境を支えたNOCチームメンバーであるosyoyuさんは、総勢17名のNOCチームが過ごした過酷かつ平和な舞台裏を、会場へのクイズを交えてエネルギッシュに紹介しました。事前に東京で4km分ものケーブルをすべて巻き直す「巻き直し」会の実施や、会場の配置を模した事前実験など、泥臭い努力の連続。最も過酷なDay 0は朝5時に起床し、広大なアリーナに配線を巡らせたそうです。
当日の緊迫した配線作業も、事前に計画が書かれた「TF(Terraform)ファイル」に沿って全員がリアル世界で「terraform apply」を実行するように自律して動いていたという鮮やかな例えで会場を沸かせました。圧倒的なトークの楽しさに、ドラ係のterfnoさんもタイマーを見忘れてしまうほど引き込まれていました。

ikarugaさん:地元にいないローカルオーガナイザーの立ち回り
次は、ikarugaさんによる「地元にいないローカルオーガナイザーの立ち回り」という発表でした。
ikarugaさんは、関東在住ながら函館のローカルオーガナイザーとして奔走した経験をシェアしました。「地元にいなくてもリモートで拾えるタスクは無数にある」ことを紹介し、移動情報の英語版作成や、街頭アナウンス音源の自作ミックス、懇親会会場の急な切り替えとバス・タクシーの手配など、泥臭くやり遂げた凄まじい舞台裏を明かしました。
過去のイベント運営でも凄まじい手腕を発揮していたikarugaさんを知るドラ係のterfnoさんからも、まさにカンファレンスを影で成功に導いた「八面六臂の活躍だった」と大絶賛が贈られました。

RubyKaigi 2026チーフオーガナイザーによるLT
最後のブロックは、RubyKaigi 2026チーフオーガナイザーによるLTです。
ドラ係は、引き続きterfnoさんが担当しました。
松田 明さん:したっけ2026
事後勉強会の大トリを飾るのは、RubyKaigiチーフオーガナイザーの松田 明さんによる「したっけ2026」という発表でした。
松田さんからは、函館アリーナの会場代が破格の1日45万円(公開情報)だったという衝撃のお金の話や、通訳マッチングでの日本語スピーカー漏れを通じ、当日の朝にその連絡を受けたAaron Patterson氏がRubyKaigi 2026セッションでの自己紹介で「Aaron Pattersonと申します。外国人の名前のようですが、外国人です。」という笑いに変えてくれた温かいエピソードが明かされました。さらにRubyが隠された「星ロゴのパーカー」や、オリジナルクラフトビール「Ruby on Ale」など、こだわり抜かれたノベルティやフードの裏話が次々と飛び出しました。
公式懇親会で提供された日本酒の選定秘話や函館の地元感へのこだわりなど、運営陣の計り知れない愛とこだわりが最後までぎっしりと詰まった、事後勉強会の締めにふさわしい最高の内容でした。

懇親会
SmartHRのosyoyuさんとpndcatさんによる乾杯の挨拶で懇親会がスタートしました。
懇親会では、RubyKaigi 2026や函館での思い出など、参加者同士での交流で盛り上がりました。また、懇親会の途中では「発表自慢の時間です!」と題し、今後の地域Ruby会議の登壇者が発表内容をアピールする場面もありました。
最後はSmartHRのeminemさんにより「また来年、宮崎でお会いしましょう!」という言葉で締めくくられました。




さいごに
今回の事後勉強会では、「Kaigi Effect」というテーマが多くの発表で語られていたことが印象的でした。RubyKaigiに触発されて新たな技術に挑戦する参加者の姿や、イベントを支えるNOC・オーガナイザーの奮闘と舞台裏、そして旅情溢れる移動の楽しみ方まで、さまざまなLTを聞くことができました。また、懇親会ではいろいろな方と語り合うことができ、刺激と興奮に満ちた一日でした。
個人的には、改めて「Rubyの楽しさ」と「コミュニティの力」を肌で感じた一日となりました。自分が日頃から当たり前のように使っているプログラミング言語やエコシステムにはそれを支える方々やコミュニティの絶え間ない努力があることを再認識し、自分もそのコミュニティの一員として、今後のRubyをさらに盛り上げて行きたいと強く思いました。
また来年、RubyKaigi 2027に宮崎でお会いできるのを楽しみにしています!

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