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リリース前倒しを迫られたとき、僕を救ってくれたのは同僚のPMだった

こんにちは。SmartHRプロダクトマネージャーのsonchoです。
この記事は「SmartHRのプロダクトマネージャー全員でブログ書く2024」への参加記事です。25人が持ち回りで毎週記事を投稿します。ぜひご覧ください!

僕からは先日新たにリリースされた「キャリア台帳」の開発裏話をご紹介します。このエピソードを通じて、SmartHR内のプロダクト開発の雰囲気を感じていただければ幸いです。

はじめに・背景

新規プロダクトの立ち上げを担当することが決まったのは、2023年6月頃でした。翌月から徐々に開発がスタートし、11月には正式リリース時に対応するユースケース・開発アイテム・スコープなどがほぼ決定。僕たちは2024年5月末のリリースを見込んで開発を進めていました。

ところが、マルチプロダクト化の加速に伴い、新規プロダクトにおいても今まで以上に早期の事業貢献が求められることに。まあ簡単に言うと「もうひとギア、上げていこうぜ!」みたいな雰囲気になったわけです。

リリース時期の前倒しを求められることはめずらしくありません。ただ正直、タイミングが悪い。かなり悪い。今だから言いますが、僕は心の中でこうつぶやいていました。「え、正月休めるよね?」。12月はみんなお休みモードに入っていくし、1月は社内イベントがてんこ盛りだし、個人目標の設定もあるし。そんなドタバタのなか、リリース前倒しへの挑戦が始まりました。

開発チーム内での対応スコープ検討

開発チームでは、改めて開発アイテムの精査と対応予定のユースケースを整理しました。その過程で削減の余地がある開発アイテムや作業箇所がないかを検討。過剰に作り込む予定になっているものはないか、品質周りはどこまで担保するのか、その開発アイテムを削って競合と戦えるのか。提供価値の大きさや事業的な側面を考慮し、スコープを極限まで削っていきました。その結果、なんとか2024年4月頃にはリリースできそうだという目処が立ったのです。俺たち頑張った……!

PMレビューで取り戻した視点

数日後、極限まで削り込んだ(と思っていた)状態の開発アイテムやスコープを同僚のPMにレビューしてもらう機会がありました。

「もう少しターゲットを絞ってみたらどうだろう?」だったり、「これってあとから追加してもいいんじゃない?」だったり、開発アイテム一つひとつについてディスカッションしていきます。するとあれよあれよという間に20個ほどあった開発アイテムが半数以下にまで削られるじゃないですか。

そこでようやく気づきます。僕は無意識に視野が狭まっていたんだと。プロダクト単体での最適化にばかり目がいき、いつのまにか「SmartHR」を軸に全体を捉える視点が抜けていたのです。でも同僚たちは「このプロダクトがSmartHRにもたらす事業価値は何か」という視点を持ってブラッシュアップしてくれた。今できないことができるようになる。それはSmartHRにとって確かな前進であることを思い出させてくれました。

結果、当初コアと考えていた2つの提供価値のうち、一方を削ることになったのですが、レビュー後は不安でいっぱい。本当にそこまでスコープを削ってしまって大丈夫だろうか? これに対価を払ってくれるお客さまはいるのだろうか? いろんな不安が押し寄せてきてソワソワしっぱなし。冷静に考えられるようになったのは1時間くらい経ってからです。……これ、可能性はゼロじゃないかも。

お客さまの反応から得た手応え

実際に削った状態のプロダクトを営業担当やお客さまに見てもらうと「今すぐにでも欲しい」という反応で、この状態でも十分に価値提供できると感じました。それにプロダクトは出してみないとわからないことが多い。検証時点でのフィードバックが本音とは限りません。早くリリースすることでリアルなフィードバックが得られると考えたら、なんだか楽しくなってきたのです(急にポジティブ)。

開発チーム内で削る判断ができなかった理由は?

開発チーム内だけで「コアとなる価値のうち一つを削る」という選択があることに気づけなかったのはなぜか。理由は大きく2つあると考えます。

①提供価値が小さすぎると感じてしまう状態になっていた
僕たちは将来開発予定の機能が多く含まれている状態のプロダクトモックを使って顧客ヒアリングを実施していました。正式リリース時に必要な提供価値を見極めながら徐々に機能を減らしていったものの、将来開発予定の機能モリモリプロダクトに見慣れすぎて、今以上に削ることに不安を感じる状態になっていたんだと思います。

②プロダクト単体で勝負(差別化)しようとしていた
つくろうとしているプロダクトは競合が先行提供している部分が多く、いつのまにか視座が下がって視野も狭くなっていました。単体でどう価値提供するかにフォーカスしすぎた結果、プロダクト全体での優位性を示す・差別化するという観点を見失っていました。

終わりに

そんなこんなで(いや、端折りすぎやけど)、当初5月下旬にリリース予定だった「キャリア台帳」を2月8日に無事リリースできました。しかも、正月はしっかりがっつり休んだうえでのミッションクリアです。

SmartHRでは複数のプロダクトマネージャーが活躍していて、そのおかげで日々さまざまなフィードバックや気づきを得ることができています。担当プロダクトに集中していると、どうしても全体のバランスを見る余裕がなくなってしまう、みたいなことってあると思うんです。そんなときに声をかけてくれる仲間がいる。しかも苦悩や葛藤を理解したうえで客観的な意見をくれる仲間がいる。この環境、最高だと思いませんか?

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