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SmartHRの残業王制度に関するお話

こんにちは、エンジニアのkinoppyd(平均残業10.2時間)です。今日は、週末に悪い意味で話題になった、SmartHRのエンジニアグループで運用されている残業王について、すこし弁明をさせていただければと思います。

残業王

まず最初に残業王の制度が「残業という会社が管理すべき問題の解決を、従業員に押し付けられている」と受け止められている事に関してのお話をしようと思います。

前提として、会社が残業を従業員に求めているということは、SmartHRにおいてはありません。会社の姿勢としては、各チームのスクラムによる小回りの効くスケジュール管理と、もしそれでも問題があった場合のレポートラインの整備やビジネスサイドとの折衝、隔週の評価者との1on1の面談による目標と評価の調整など、万全の体制でエンジニアの残業を減らしQOLを上げるための仕組みを運用しています。

会社の取り組み、そして各エンジニアたちの残業を回避する行動の成果として、先月の平均残業時間は9.6時間、中央値は6.35時間、今月の残業王の残業時間は36時間でした。直近数ヶ月でも、エンジニアグループの残業時間は低い水準で推移しています。恐らく、残業王という言葉のインパクトからは程遠いのではないかと思います。SmartHRのエンジニアグループは、徹底した開発体制の仕組みで、エンジニアの残業を防ぐための努力をしています。また、全従業員には45時間の見なし残業代が残業の有無とは関係なく毎月給与として支払われており、それに対しても残業時間の少なさがおわかりいただけるかと思います。

その上で、残業王という制度について説明します。

まずこの制度そのものが、エンジニアの発案から始まっています。SmartHRのエンジニア文化として、残業は良いものではないという価値観があります。エンジニアグループの仕組みとして、残業を全然しなくても良い環境が揃っているのに、なんで残業しているの? というメンタリティから生まれています。また、いくら会社の制度でエンジニアの残業を防ごうとしても、それを逸脱して働くひとはいます。働きたい人は働けばいいと思いますが、会社としては36協定などもあり、過度な残業をなるべくしてほしくないと考えています。そのため、会社側の残業を減らす制度とは別軸で、エンジニア側からもなるべく残業を避けるように容認しているのが、残業王という制度です。

残業王制度は、正確に書くと「月間の残業時間が最も多かったエンジニアが、その翌月の間は自分のデスクの椅子に残業王のTシャツを飾って過ごす」という制度です。Tシャツを着る必要はありません。あくまで、皆でそのTシャツを見て、残業をするまいと心に誓うための象徴です。誰が残業王なのかは、テック定例という週に一度の全エンジニアが集まるミーティングで周知されます。今月の残業王は、これまでの平均の残業時間よりは高い数値でしたが、それでも見なし残業の45時間を超えるものではありませんでした。

SmartHRのエンジニアは、概ね毎月30時間前後の残業時間で残業王のTシャツを手に入れることになります。日に換算すると、毎日1時間ちょっとの残業で王のTシャツを渡されてしまいます。4月はわずかに全体の残業時間が増えてしまいましたが、理由はリモートワークとスライドワークが始まったことに関連しているもので、これらの異常値を常にモニタして全員に「残業しないでね」という警報を発するためにも、残業王制度は利用されています。また最近の残業王Tシャツは、エンジニアチームの勤怠を管理する側のマネージャー職に対して授与されることが多いです。

shanaiho.smarthr.co.jp

以上のように、SmartHRでは残業王という制度を、会社側からの残業を防ぐための仕組みと両軸で運用しています。決して、会社側が残業に対する責任をエンジニアに転嫁しているものではありません。

世の中には残業というものが多くはびこっていて、非常にセンシティブな気持ちになっている方々が多い中で、SmartHRでは残業が少ないということを茶化した制度として紹介したことが良くなかったものと反省しています。

また、HRに関わるサービスを提供しているにもかかわらず、求人票に面白おかしく残業王という言葉を登場させたことに関しては、軽率だったと感じています。その点に関しては大変申し訳なく思っています。

残業王からのコメント

最後に、過去あまりに残業王の称号を得すぎたため名誉残業王と呼ばれているエンジニアからのコメントを頂きました。

名誉残業王を獲得し、殿堂入りした @f440 です。残業ですか……すっかり王位争奪戦から離れた身としては懐かしい響きですね……

開発チームでは、メンバー全体で数時間程度で終わるサイズまで作業内容を精査し、明確な期日を設けずできたものからリリースするというスタイルをとっており、そもそも恒常的な残業が発生しえない仕組みになっています。

しかし、転職したてて前職の作業習慣が抜けなかったり(←自分の場合)、中途半端で終わらせると寝覚が悪い(←分かりますよね?この感覚!)といった理由で残業してしまうことがあり、注意喚起として残業王認定が行われています。と言っても、Tシャツが回ってくるだけなのですが。

私自身も残業王になったことが生活を見直すきっかけになっており、当初は「ハタラキタイ……モットシゴトシタイ……」といった禁断症状が出ていたのですが、徐々に改善して今では SmartHR らしい働き方ができるようになりました。

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