こんにちは。SmartHRで基本機能を開発しているプロダクトエンジニアの田中です。
私が所属するチームでは、新しくメンバーがジョインした際にチームビルディングのためにムービングモチベーターズを実施しています。
本記事ではムービングモチベーターズの紹介とやってみての感想をお伝えします。
背景
私が所属するチームでは、オンボーディング時はチームビルディングのためにドラッカー風エクササイズを実施していました。
ドラッカー風エクササイズとは、「アジャイルサムライ」の著者Jonathan Rasmussonが提唱したチームビルディングのための手法です。
チームメンバー同士で以下の4つの質問に答えてもらい、お互いの価値観や得意なことなどを知ることができます。
- 自分は何が得意なのか?
- 自分はどうやってチームの成果に貢献するつもりか?
- 自分が大切に思う価値は何か?
- チームメンバーは自分にどんな成果を期待してると思うか?
お互いのことを知るためには良いワークショップだったのですが、ボリュームが大きく時間がかかってしまうため、新しくジョインされた方が既存メンバーの内容を読んで質問するという形になっていました。
そこで、ドラッカー風エクササイズの「大切に思う価値」にフォーカスしているムービングモチベーターズを皆で実施したところ、チームで話しながらワークショップができ、ボリュームもちょうど良いサイズ感でした。
チームからの評判も良かったため、以降はムービングモチベーターズをオンボーディング時に実施するようになりました。
ムービングモチベーターズとは
ムービングモチベーターズとは、自己組織化や
サーバントリーダーシップなどに基づく新たなマネジメントのあり方であるManagement3.0のプラクティスの1つです。
Management3.0のプラクティスは他にもたくさんあり、権限移譲のプラクティスであるデリゲーションポーカーはよく知られているのではないでしょうか。
(先日参加したRegional Scrum Gathering Tokyo 2024のセッションでも紹介されていました。)
ムービングモチベーターズでは、チームメンバーのモチベーションを可視化します。
チームメンバーのモチベーションを可視化し価値観を共有することで、普段のコミュニケーションを円滑にすることができます。
例えば、好奇心を大事にしているメンバーに単純な作業をそのまま依頼すると、嫌な顔をされるかもしれません。逆に、秩序を大事にしているメンバーに自由度の高い抽象的な作業を依頼すると、困惑させてしまうかもしれません。
依頼や相談の仕方などをチームメンバーが大事にしている価値観に合わせて変えることで、無用な衝突を避けることができます。
事前準備
私が所属するチームではオンラインホワイトボードツールであるMiroを使ってムービングモチベーターズを実施しています。
オンラインでムービングモチベーターズを実施するためには、いくつか事前準備が必要です。
1. Miroに付箋を貼るためのボードを用意する
NuWorksのブログでPDFが配布されているので、そこから10枚のカードをダウンロードしてMiroに貼り付けます。
以下が用意されているカードと内容になります。
カード | 内容 |
---|---|
受容 | 「私の周りの人が、私がやっていることや私らしさを認めてくれる」 |
好奇心 | 「調査したり、考えたりしたいことがたくさんある」 |
自由 | 「私は自分自身の仕事と責任で他人から独立している」 |
地位 | 「私の職位は優れていて、いっしょに働いている人たちから認められている」 |
ゴール | 「私の人生の目的が、私がしている仕事に反映されている」 |
名誉 | 「私個人の価値が私の働き方に反映されていることを誇りに思う」 |
熟達 | 「私の仕事は難しいが、まだ能力の範囲内にある」 |
秩序 | 「安定した環境のための十分な規則と方針がある」 |
権力 | 「私の周りに起きることを自分で左右できる裁量がある」 |
関係性 | 「私は仕事でかかわる人々と良好な社会的つながりを持っている」 |
2. ベースとなるテーマを事前に決める
オンボーディングなので、考えやすい「仕事に対するモチベーション」をテーマにしています。
今後は会社やプロジェクトに向けたモチベーションなど、チームの状況に応じてテーマを変えて実施してみたいと思っています。
ワークショップ
事前準備ができたら、実際にチームメンバーで集まってワークショップを実施します。
1. ベーステーマについてチームで合意する
ベーステーマについてチームに共有し、認識合わせをします。
最初に認識あわせしておかないと、視点が異なるモチベーションがでてきてしまい話にズレが発生します。
2. メンバーは自分にとってどんなモチベーションが大切か考える
ベーステーマの合意が取れたら、メンバーに10枚のカードから自分にとって大切なモチベーションを選んでもらい、ベスト3をMiroに貼ってもらいます。
3. メンバーが選択したカードを見ながら、それぞれのモチベーションについて話し合う
なぜそのモチベーションが大切なのかなど理由について話してもらいます。ここで意外な気づきや、共通の価値観を発見することができます。
予想通りなのか、意外なのか感想を共有すると盛り上がります。
最終的に以下のボードができあがりました。
感想を残しておけるように感想枠を設けています。
実施してみた感想
新しくジョインされた方・既存メンバーともに、各メンバーが大事にしていることを知り、そこから各メンバーの考え方を知ることができました。
既存メンバー同士でも意外な気づきもあり、更に深くメンバーのことを知るきっかけになりました。
チームとしての特色も知ることができ、私が所属するチームは「関係性」を大事にしている方が多いということがわかりました。
また、しばらくたってから再度実施すると、前回の結果からランキングが変わっていることがあり、なぜ変わったかなどを深掘りすることで、メンバーの変化を知ることができました。
例えば、私は入社して4ヶ月頃は「関係性」を1番にしていたのですが、入社後半年経過して実施したところ「好奇心」が1番になっていました。
背景としては、入社当初は早くチームに慣れたいと思っていたのもあり「関係性」を大事にしていたのですが、半年経過したあたりからある程度チームとの関係性を築けたことにより、いろんなことにチャレンジしたいという「好奇心」が勝るようになりました。
時間の経過で変化することもあるので、定期的な振り返りとしても利用できそうです。
終わりに
オンボーディング時にムービングモチベーターズを利用するケースを紹介しましたが、オンボーディング以外でも利用できるケースはあると思います。
チームのモチベーションと深い対話を促進するムービング・モチベーターズの新しい活用法 | NüWorksで紹介されているように、ピープルマネージメントのツールの1つとしても利用できます。
ぜひ、ご自身の組織にあった活用方法を見つけてください。
また、今回のようなムービングモチベーターズ以外にも、SmartHRでは新しくジョインした方がチームにすぐ馴染めるような活動も行っています!
次の記事で紹介していますのでぜひご覧ください!
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