こんにちは。SmartHRのプロダクト基盤でプロダクトマネージャーをしているnagaiです。
この記事は「SmartHRのプロダクトマネージャー全員でブログ書く2024」への参加記事です。25人が持ち回りで毎週記事を投稿します。ぜひご覧ください!
私たちは2024年から、プロダクト基盤本部の中に従業員データ基盤ユニットというチームを組成しました。この記事では、プロダクトが増えていく中で、SmartHRの中核となる従業員データに責任を持つチームを立ち上げたプロセスについて説明していきます。 単一プロダクトからマルチプロダクトにシフトしていく中で発生する、組織横断の課題への対処や体制構築を進める際の参考になれば幸いです。
チーム立ち上げの背景
きっかけは、7チームで作っていた大きなプロダクトを分割再編しましたにある通り、労務領域 の組織再編です。
当時、私は労務領域のPM(主に従業員データベース)を担当していました。上司のmakikotから下期に労務領域の組織を再編しようと思っているという話があり、従業員データベースに深く関わるPM枠として、再編PJに参画することになりました。
私自身、プロダクトマネジメントを行う中で、
- 従業員データベースを開発するチームが労務領域にあることによる、タレントマネジメントチームから来ている要望への対応の遅れ
- 労務にとどまらず複数の領域を包括した従業員データベースの中長期的な成長ストーリーの描きづらさ
といった課題を抱えていたので、絶好の機会でした。
2023年から複数のプロダクトが利用する共通機能を開発するプロダクト基盤チームが組成されたこともあり、従業員データベースを開発するチームを労務領域とプロダクト基盤領域にどうやって再編するかの検討をすることになりました。
領域ごとの責務を定義し開発チームも分割
1. 顧客要望やデータ項目を労務とプロダクト基盤に分類
まずは既存の顧客要望やデータ項目を洗い出し、直感的に労務とプロダクト基盤に分類を行いました。分類作業を進める中で、「なぜ労務プロダクト/基盤だと思ったのか」と自問自答を繰り返し、少しずつ整理を重ねていきました。
タタキをベースに同じグループのPM、PMMやドメインエキスパートと一緒に以下のような作業を行いました。
- 従業員データのユースケースの洗い出し
- 要望の温度感や仮にやるとした場合の着手時期
- 労務とプロダクト基盤それぞれの分類軸のブレスト
この作業において、労務・人事の実務経験が豊富なドメインエキスパートの存在や、PMMから事業環境やGo To Market視点のアドバイスがあったのはとてもありがたかったです。 PMだけでなく様々な職種と連携しながらプロダクト作りを行える環境は、恵まれていると感じました。
2. 境界を言語化、それぞれのチームのミッションを定義
ただし、この分類軸はあくまでボトムアップでの暫定的なものにすぎず、中長期的にそれぞれの領域がどのような役割を担うべきかの検討が必要不可欠でした。
そこで分類した要望から重要度×緊急度を整理しつつ、2~3年後にそれぞれがどういった役割になっているかをイメージしながら、それぞれのチームのミッションや中期テーマを定義しました。
詳しく書けない部分もありますが、ざっくり
- 労務:労務業務で利用するのがメインとなるデータ
- 基盤:タレントマネジメントや今後展開していく事業領域でも活用されるデータ
のようにしています。
これは、SmartHRが労務領域を起点に成長してきたプロダクトであり、その上にタレントマネジメントが乗っかっているという構造になっているためです。 労務で収集した従業員データをタレントマネジメントで活用できるのがSmartHRの強みのため、収集したデータの使い道が「労務単体」と「タレントマネジメントなど複数の事業」のどちらに軸足をおくべきかを、前述した従業員データのユースケースを参考に決めました。
その後は、それぞれのロードマップ作成、リソース配分などのチーム編成、関係者との合意形成を進めていきました。
実際にやってみて
そして今年になり、従業員データ基盤ユニットというチームをプロダクト基盤に新設することができました。これにより、事業領域と開発組織が1対1の関係性となり、それぞれの領域に専念しやすい環境になりました。
昨年の再編時点では見えていなかった課題もいくつか顕在化し、役割をより明確化する重要性を改めて実感しています。プロダクト基盤領域に移行したことで、短期的な課題対応だけでなく、中長期的な従業員データベースのあり方に注力できるようになり、機能開発以外の基盤領域らしい新たな動きも生まれつつあります。
最後に
私自身も今年からプロダクト基盤へ異動し、現在は権限基盤のPMを担当しています。 従業員データ基盤ユニットも後任の頼もしいTPMに引き継ぎをしている最中です。
今回のような組織を横断した課題整理や体制構築を主導するのは初めてで、多くの学びを得ることができました。 振り返れば、詳細まで決め切らねばと具体的な開発ロードマップを熟考してしまっていたり、アウトプットを出すまでが遅く慎重になりすぎてしまっていたなという反省もあります。 そんな中でも辛抱強く見守ってくれた周りのメンバーにはとても感謝をしています。
私達はプロダクトマネージャーを募集しています!
こうした取り組みをボトムアップで裁量持って主導できる環境も中々ないのではないかと思います! 先週、CPOのadachiが書いたなぜPMが25人も必要なのかにもある通り、今後も新規プロダクトが複数立ち上がり、HR領域も引き続き拡張させていくためチャンスがたくさんあります。
SmartHRでは引き続きPMの採用に注力しています。 PM職に関する情報をまとめた記事がありますので、ぜひご一読ください。カジュアル面談のリンクなどもこちらに掲載しております。