こんにちは!CTO の芹澤です。
不要不急の外出自粛が要請されてからそろそろひと月が経とうとしておりますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
弊社では4月より全社員がリモート体制で勤務しているのですが、先日 PM の岸が「SmartHRにアジャイル推進室(仮)を立ち上げました」というブログを公開したところ、以下のようなリプライをいただきました。
リモートでの振り返りとスプリントプランニング等をどうやっているか記事にしていただけると嬉しいです!
— じゅん (@jun0o05) April 7, 2020
そこで、今回は僕らがリモートワーク環境下でどのように振り返りを行なっているかを紹介させていただければと思います!
before コロナ時代における振り返り
弊社では長らくスクラム開発を行なっていて、週次でスプリントの振り返り(レトロスペクティブ)を行なっているのですが、そこでは主に「KPT」を実践しています。
これは「Keep(このまま継続すること)」「Problem(課題)」「Try(解決策)」という3つの項目、すなわち「KPT」を書き出し、今後どうするかを考えるというものです。シンプルながらも着実に継続的改善を促すことができるフレームワークとして普及していて、付箋とホワイトボードを使って実践したことのある方も多いかと思います。
KPT は優れたフレームワークではありますが、一方で、そればかりやっているとちょっとずつマンネリ化してきて、本質的な課題発見や改善に繋がりにくくなるため、たまに別の手法を取り入れたりもします。
ある会では、アジャイル推進室からご提案いただいた「闇鍋」を試してみました。
これはみんなで「議論したいこと、改善したいこと」を付箋に書いて袋に入れて混ぜ、無作為に引いた1枚に書かれている内容についてとことん話し合うというものです。
実際にやってみると、議題が強制的にフォーカスされるため、今まで見えてこなかった課題感やそこに対する改善アクションに繋がりました。何より、普段とはちょっと違う、フレッシュな気持ちで臨めるのがよかったです。
(闇鍋の議論結果を各チームで発表しているシーン)
このように、弊社の開発チームには振り返りの文化が根付いていて、そこにはいつも付箋や壁、ホワイトボードがあったのです。
with コロナ時代に振り返りと向き合う
東京都で不要不急の外出を控える要請があった3月末に、企画構想を含めて約半年の期間を要した大型機能開発が終わりました。
リリース自体は無事に終わったものの、関係各位進め方に反省点を抱えており、メンバーの提案により「タイムライン」という手法を使った振り返りをやることになりました。
これは、案件の振り返りたいポイントを時系列で並べて Good と Bad をそれぞれ書いていくもので、当然ながら付箋とホワイトボードを使います。
この時点ですでにリモート体制に移ることが決まっていて、オフィスに集まれないことがわかっていたのですが、鮮度の高いうちにやりたいという気持ちが強く、紙の付箋を惜しみつつもオンライン上で決行すること決意しました。
「Miro」との出会い
まずはツールの選定からです。
オンラインでホワイトボード作業を実現する「Miro」というサービスが界隈で話題になっていて、社内でも使われつつあったので、まずはこれを試してみました。
初見でもかなり使い勝手がよかったのと、やりたいことはだいたい満たせそうだったので、すぐにチームメンバー全員分のアカウントを発行し、 Miro によるタイムライン振り返りを実施するための準備をはじめました。
事前準備
前もって各メンバーにツールに慣れておいてもらうため、週次のスプリントの振り返りで Miro を使った KPT をやってみました。
誰でもすぐに馴染めて問題なくツールが使えるようになった一方、ブラウザからアクセスすると PC が悲鳴をあげて動作がもっさりすることや、Miro 上のビデオチャット機能は遅延が気になるなどの課題点も見つかりました。これらの対策として、タイムライン振り返りの際には Miro のアプリを入れる、ビデオチャットは Zoom を併用するという判断をしました。
(KPT をやるために試行錯誤している様子)
また、ワークショップはできるだけ議論に時間を割けるよう、時系列を書いてそこに Good/Bad の付箋を貼る作業は全て事前に終わらせておき、当日はそれを眺めるところからスタートできるようにしました。
いざ、開催
さて、いよいよタイムライン振り返りの実施です。
入念な準備の甲斐もあって、ホワイトボードと付箋がデジタルかつオンラインになったことによる弊害はほぼ感じられず、スムーズに振り返りができました。
また、ツールの操作に慣れていたこともあり、議論しながら付箋同士を線でつなぐ作業や、TODO コメント用の付箋を貼るといった作業も問題なくできました。
(Miro で完成させたタイムライン。手書きよりも “映え” る仕上がりに)
オンライン付箋ワークショップの総評
このオンライン付箋ワークショップをやった感想としては「思ったより全然良いじゃん!」という感じで、参加メンバーからもご好評いただけました。特に何が良いと思ったのかを整理してみると、以下のようになりました。
- ワークショップの開催に物理的な制約がないこと
- 付箋の文字が読みやすいこと
- 筆跡から書いた人を推測できないため、先入観なく議論ができること
- Zoom と併用するとほぼ違和感なく議論できること
- リアルタイムに表示される参加メンバーのマウスカーソルが、どことなく視線や指差しのような役割を担っていること
(リアル付箋あるある: 読めない手書き)
もちろん、オンサイトでのアナログ付箋ワークショップと比べて不安なところもありました。
- ホワイトボードのサイズに物理的な制約がない分、議論が無限に発散してしまうこと
- 参加者が多いと、どうしてもオンライン特有の「お見合い」の間が生じてしまうこと
- PC で作業をするため、通知類に意識を奪われたりすること
とはいえ、いずれも開催の工夫で対策はできると思います。
いまや僕たちのチームでは、週次の KPT だけでなく、各種スクラムセレモニーやアイディアを出し合うようなミーティングでさえも、オンサイトで行なっていたときと遜色なくオンラインでこなせています。
本日紹介した Miro 以外にも、世の中には様々なオンラインコラボレーションのツールがありますので、色々と比べてみると面白いかもしれません。個人的には、先日ベータ版がリリースされた Goodpatch さんの「Strap」が気になってます。Miro は海外サービスなためか付箋上への日本語入力に少しクセがあるのですが、国産サービスだとその辺りの UX に期待ができそうです。
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