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SmartHRにおけるフルリモートワークの生産性や満足度調査

SmartHRにおけるフルリモートワークの生産性や満足度調査

こんにちは。VP of Engineering の morizumi です

この記事では2024年2月にプロダクトサイド(注:プロダクト開発に直接的に関わっている各部の総称)内で実施したフルリモートワークに関するアンケート結果のサマリをご紹介します。SmartHR では2021年7月より本格的にフルリモート体制に移行しており、移行から2年半ほどが経ちました。2年半を経て、従業員としてフルリモートワークをどのように受け止めているのか? というのを調べるために行ったのが今回のアンケートです

なお、この記事は僕が書いた社内ドキュメントからほぼコピペして作っているため、一部わかりにくい用語や言い回しがあったり、若干の内輪ノリがあるかもしれませんがその点はご容赦いただけると幸いです

それでは早速、アンケート結果のサマリをご紹介していきます (これ以降基本的に社内ドキュメントのコピペです)

アンケート結果の数字を中心に見ていく

回答率

215/249 = 86.3% と、アンケートを送付してから締め切るまで4営業日ほどしかなかったし、リマインドも1度しかしていないにも関わらずかなり回答率は高かった
フルリモートワークに関する注目度の高さがうかがえる

居住地と東京オフィスとの距離

所属部署ごとに分類した居住地と東京オフィスとの距離に関するグラフ

所属部署によって大きく傾向が異なる、ということはなかった

全体だと、およそ 75% が東京オフィスから 50km 未満の場所に居住している
逆に言うと、およそ 25% は東京オフィスから 50km 以上離れた場所に居住していることになる
絶対数としては48名

(通勤している人がいたら申し訳ないが、)50km 以上離れた場所に居住していた場合高頻度で出社する必要がある会社に勤めることは難しいと考えられるため、我々は全体のおよそ 25% の労働力をフルリモートの恩恵により獲得できている、と言えそうである(会社がフルリモートに移行してから遠方に引っ越した人も一定数いるが)
ちなみに PdE(注:プロダクトエンジニアの略)で 50km 以上離れた場所に居住している人の絶対数は31名であり、1チーム5名で開発をしていると考えると6チーム分にあたる
急に明日から全員絶対にオフィスに来てくださいとなったら6チームが消滅する、と考えると恐ろしい話である

距離感を把握しておくと、
東京オフィスから真北に 25km だとおおよそ埼玉スタジアム2002のあたりで、ギリギリ埼玉県川口市を越えるくらい
真北に 50km だとおおよそ JR 宇都宮線栗橋駅(数駅先で栃木県に入るので埼玉県の北限に近い)のあたり

前者だと浦和美園駅を出発して東京オフィスに到着するまでおよそ50分
後者だと栗橋駅を出発して東京オフィスに到着するまでおよそ1時間30分

使う路線や個人の感覚に依るが、通勤時間のみにフォーカスした場合「なんら抵抗なく」東京オフィスに出社可能なのは 25km 圏内になるのではないかと思われる
東京オフィスから 25km 未満の場所に居住している人は 56.7% なので、「なんら抵抗なく」東京オフィスに出社可能な場所に居住している人は半数程度と言えるのかもしれない

遠方だと 300km 以上離れた場所に居住している人も35名おり、東京オフィスから大阪方面に 300km はおおよそ名古屋を過ぎたあたりである
600km となると西は広島、北は青森のあたりになる

名古屋駅から東京オフィスは新幹線を使っておよそ2時間
八戸駅から東京オフィスは新幹線を使っておよそ3時間

札幌あたりは最遠方の部類に入ると思うが、飛行機を使って4時間半はかかる

生産性 / 満足度について

所属部署ごとに分類したリモートワークが自身の生産性によい影響を与えているかという設問に対する回答のグラフ

所属部署ごとに分類したリモートワークがプロダクトサイドの生産性によい影響を与えているかという設問に対する回答のグラフ

所属部署ごとに分類したリモートワークに満足しているかという設問に対する回答のグラフ

フルリモートワークが自身の生産性向上に寄与しているか、プロダクトサイドの生産性向上に寄与していると思うか、自身の満足につながっているか、といった設問についてはポジティブに評価している人が大勢を占めていた

「自身の生産性への寄与」の方が「プロダクトサイドの生産性への寄与」よりもポジティブ評価者の割合が高い結果になっているが、これは「組織というスケールでは判断がつかずわからない」という理由でプロダクトサイドという視点に立つと「どちらでもない」が選択されることが増えたためであると思われる(他にも、フルリモートワーク移行後に入社したため比較できない、というものもいくつかあった)

「プロダクトサイドの生産性への寄与」についてネガティブ寄りの回答理由を拾っておくと、

  • 気軽にコミュニケーションをしづらい面がある
    • シュッと声をかければ解決できることに時間を使っている面がある
  • 職場における人間関係の希薄化
  • 遠方勢出社時にタイムボックスが圧迫される
  • マネジメント上オンラインの 1on1 では限界を感じる場面がある
  • 会議で活発な議論が生まれづらかったり、物理的制約がないがゆえに人を呼び過ぎたりして生産性が下がる
  • チームビルディングへの悪影響
  • 偶発的なコミュニケーションが生まれづらい、他部署との交流が生まれにくい

といったものが書かれていた
コミュニケーション周りの話を挙げる回答が多かったが、入社からの経過年数と関係があるのかを(目検により)確認してみたものの、特に関係はなさそうだった

「自身の生産性への寄与」と「プロダクトサイドの生産性への寄与」のギャップについては、(後者も 77.2% は「よい影響を与えている」以上を選択しているものの)組織として改善の余地があると感じている人が多いと捉えて今後のフルリモートワークのあり方を検討する必要があると感じた
現状は各所で秘伝のタレ的に作り上げられているリモートワークにおけるコミュニケーションを、組織的に洗練させていくアプローチが必要そう

データとして面白いなと思ったのは、以下の東京オフィスから居住地までの距離 x 満足度のグラフ

東京オフィスからの距離ごとに分類したリモートワークに対する満足度のグラフ

「とても満足である」の比率は東京オフィスから居住地までの距離が 25km 未満 -> 150km 以上 300km 未満にかけて下がっていくが、300km 以上を超えると上がっていく

母数も少ないためたまたまかな、と思っていたが、自由入力欄に書かれている理由を読んでみると 300km 以上になるとフルリモート通勤制度による月2回の交通費支援が、

  • そもそも出してもらえてありがたい
  • 長距離移動は月2回より多いとしんどいのでちょうどいい
    • また、制約があることで必要性を考える機会になる

という風に言及されるケースが増えていた
ありがたさは満足度を向上させるのかもしれない

月2回という制約が逆に過剰な業務による移動を制限し、必要性を考慮するいい機会になっている、という視点は僕にはなかったのでよいインプットが得られた

転職活動時の考慮ポイントとしてのフルリモートワーク

所属ごとに分類した転職活動を行う際に転職先がフルリモートであるかどうかを考慮するかという設問に対する回答のグラフ

代替テキスト

フルリモートワークを採用している SmartHR で働いている以上、それはそうという話かもしれないが、総じて転職先がフルリモートワークであるかどうかはかなりポジティブな要因であることがわかる

フルリモートワークであることが必須事項であるという回答も 46.0% とかなり多いと言えそう

東京オフィスからの距離が遠くなるについれて「必須事項である」の比率が上がっていくと予想していたが、50km 以上 150km 未満をピークに下がっていくのは面白いなと思った
なお、これについては自由入力で理由を回答してもらう欄を設けていなかったので、そうなった要因はわからない
250km を超えてくると名古屋・大阪・福岡・札幌など別の経済圏が現れてくるため、必ずしも東京の会社でリモートで働く必要もないか、となるのかもしれない

アンケート結果の自由入力欄を中心に見ていく

生産性

要点をまとめると、

  • 個人にとってのポジティブ要因
    • 通勤にかかるストレス・体力消耗がなくなり生産的に働ける
    • 労働・自己学習・休息などに充てられる時間が増えて生産的に働ける
    • 自宅の環境(ディスプレイ / デスク / 椅子、など)がオフィスのそれより優れており生産的に働ける
    • 自宅の環境(人がいない・静か / 室温、など)がオフィスのそれより優れており生産的に働ける
    • 家事 / 自身のケア / 家族のケアなどがあっても柔軟に時間を使えることで生産的に働ける
    • 育児による労働時間減少を最小限に抑えられる / 育児がしやすいことで生産的に働ける
  • プロダクトサイドにとってのポジティブ要因
    • 採用に有利 / 東京圏以外の優秀層を採用できるため生産性が高まる
    • オフラインと同程度にはコミュニケーションを担保できている / 悪影響を感じていない
    • 育児中など時間制約が生じやすい方でも働きやすく生産性が高まる
    • やりとりのログが残り追跡しやすい / 透明性が高まる / ドキュメンテーション文化が強まる、といった要素で生産性が高まる
    • オンラインよりも物理的制約がない都合上気軽に / クイックに MTG がセットできて生産性が高まる
  • 個人にとってのネガティブ要因
    • 関係性が構築しにくいため生産性が下がる
    • コミュニケーションコストは対面に比べて上がる
    • 孤独感がある
  • プロダクトサイドにとってのネガティブ要因
    • コミュニケーションコストは対面に比べて上がる / サッと話せば解決するのにと思うシーンがある
    • オフラインでの偶発的コミュニケーションがなくなった / 横の繋がりを作りづらい
    • 遠方勢が出社した際の時間的コストが大きい

という感じでした
総じてネガティブ要因の回答は、ポジティブ要因に比べてかなり少なかったです

超ざっくりまとめてしまうと、

  • 個人としては
    • ポジティブな面として、労働環境や時間的制約が改善されることで生産性が向上する
    • ネガティブ面はかなり少ない
  • 組織としては
    • 個人のポジティブな面に加えて採用面の強みが出てくるのが大きい
    • ネガティブな面としてはコミュニケーションコストの上昇がありそう

といったところでしょうか

※ 社内ドキュメントではこの後もう少し具体的な記述や回答数を挙げていっていますが、以降は割愛します

おわりに

以上で、社内ドキュメントのコピペ部分は終わりです

世の中ではフルリモートから一部出社になったりという変化が徐々に起き始めている昨今ですが(要出典)、SmartHR のプロダクトサイドでは引き続きフルリモートワークを続けていきます。もちろん課題がないわけではありませんが、獲得 / 戦力化可能な人材の多様性を大きく向上させるうえでフルリモート / フルフレックスという働き方にはかなりの強みがあります

SmartHR のプロダクトサイドでは引き続きよりよい働き方を模索しつつ well-working を実現するプロダクトをつくっていきます

WE ARE HIRING!!! あなたの助けが必要です!!!

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全然そんなことないです!! 今見えているやりたいことが10あるとしたら2くらいしかできていません!!
つまり、5あるとしたら1くらいしかできていないということです!!!

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