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「課題 is 何」のすすめ ── 認識を揃えてから話し始めよう!

このエントリは、SmartHR Advent Calendar 2024 シリーズ1の17日目の記事です。

こんにちは、SmartHR基本機能でプロダクトエンジニアをしているeminemです。
みなさん、レトロスペクティブやってますか?!
レトロスペクティブって、検査・適応のためにとっても重要ですよね。
夢中になって議論していると、一つの議題から話がどんどん広がっていってしまい、気付いたら時間が足りなくなっていた、なんてことありませんか?
私のチームではよく起きていました。この記事では、どのようにして議論が発散しすぎてしまう問題を改善したかについて紹介します。

発散しすぎることによって起きていた問題

大前提、発散すること自体は悪いことではないと思います。
発散することで様々な視点の意見を取り入れられたり、新しい意見を思いつくきっかけになったり、より良い結論につながることもあると思います。
しかし、私のチームでは発散しすぎることによって以下のような問題が起きていました。

  • 議論を収束させることが難しく、ファシリテーターの腕が必要になる
  • たくさん時間をかけて話した割にたいした改善案が出ない
  • 一つの議題に時間をかけすぎて、他の重要な議題を十分に深ぼれない

どうして発散してしまうのか?

そこで、発散しすぎる問題について、チームで改善しようと話し合いました。
まずはどうして発散が起きるのか、今までの議論を振り返って考えてみました。
その結果、以下のようなことが原因となっていたのではないか、という結論に至りました。

  • 議題に対する課題感の認識を揃える前に、手段の話を始めてしまっていた
  • 課題感がバラバラなまま話を進めていった結果、議論のゴールを見失ってしまっていた

「議題 is 何」から話し始めよう

そこで、改善策として、議論を始める前に議題に対する課題感を整理し、認識を揃えてから話し始めようということになりました。
このことを「課題 is 何」という合言葉で表し、議論の参加者全員が常にこれを意識して話すようにしました。
余談ですが忘れないための工夫として、「議題 is 何」を思い起こさせる画像を作成し、Web会議ツールの背景画像に設定したりしていました。

背景画像①「課題 is なに?」
背景画像②「まずは課題を確認しよう」
背景画像③「大事な課題は?」

「課題 is 何」を意識してどう変わったか

「課題 is 何」を意識するようになってから、以下のような変化がありました。

  • 参加者目線
    • 課題に関する発言なのか、手段に関する発言なのかを意識して話すようになった
    • 課題の話をしているのか、手段の話をしているのかが明確になることで、意見が言いやすくなった
    • 議事録が取りやすくなった
    • ネクストアクションに対する納得感が高まった
  • ファシリテーター目線
    • 課題感がズレていることに気づきやすくなった
    • 本筋から議論が逸れてしまった時に元に戻しやすくなった
    • ネクストアクションの決定までの流れがスムーズになった
    • 課題感の小さい議題は後回しにする判断がしやすくなったことで、重要な課題に時間を割けるようになった
  • レトロスペクティブに参加していなかったメンバー目線
    • 議事録が明確で追いやすくなった

レトロスペクティブでは付箋を用いて議題や議事録の記載をしていたのですが、見た目的にもとてもスッキリしました。

Before
After

議論がうまく進められた事例を一つご紹介します。
議題として「フロントエンドとバックエンドのデプロイ時差を考慮できていなかったために、問い合わせに発展してしまった」というものがありました。 それに対して、課題として以下の3点があがりました。

  • ①以前他チームから共有があったが、自分たちの開発にどのような影響があるのか分かっていなかった
  • ②開発時にデプロイ時差を考慮しなければならないことに気づけなかった
  • ③気づけたとしてもどう対応するかが定まっていない

それぞれの課題に対して、どのように改善できるか考えた結果、以下のような案があがりました。

  • ①に対して
    • 他チームへの共有方法を工夫する
  • ②に対して
    • 機械的にデプロイ時差の考慮が必要なことを検知する仕組みを作る
    • チケットの受け入れ条件に追加する
    • Pull Requestのテンプレートに確認項目として追加する
  • ③に対して
    • チケットやPull Requestの単位を工夫する

課題ごとに改善案が異なっていることがわかると思います。
ここまで整理した上で、課題の重要性や改善案が行動に起こしやすいかどうかなど複合的に判断し、ネクストアクションを決めました。
今どの課題に対する改善について話しているのかを全員が分かっている状態で話していたので、話が横道に逸れたり、何度も認識を揃えることがなく、スムーズに議論が進みました。
もし課題感の認識を最初に揃えていなかったら、参加者それぞれがバラバラの課題を思い描いている状態で話が進んでしまい、納得感のあるネクストアクションにたどり着くのにもっと時間がかかっていたと思います。

感想

「課題 is 何」を意識することは当たり前のことのように思えますが、意識してみると意外とできていなかったことに気付きました。
チーム全員で意識するようになったことで、段違いに議論が進めやすくなりました。
この手法はレトロスペクティブだけでなく、あらゆる議論の場面に通用するように感じます。
もし議論がうまく進められずにお困りの方がいましたら、ヒントになれば幸いです。

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