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【イベントレポート】e-Gov 連携サービス開発者の集いを開催しました

こんにちは!SmartHR CIO の内藤(@kakipo)です。

去る 8/1 に「e-Gov 連携サービス開発者の集い」というニッチでコアなイベントを開催しました。

「e-Gov を知っている開発者」、一体世の中に何人いるんだ…

と、集客に若干の不安があったものの、イベントを公開するとあっという間に座席は埋まり、何度か増席を繰り返し、最終的には 50 名もの方々にご参加いただきました。

https://peatix.com/event/737034/viewpeatix.com

ところで e-Gov って?

e-Gov とは総務省が公開している電子政府の総合窓口です。行政情報の検索ができるほか、社会保険、労働保険の電子申請の受付も担っています。

以前は電子申請を行う際には e-Gov のサイトに直接訪問する必要がありました。しかし、2015 年 e-Gov は待望の API を公開し、様々なソフトが e-Gov と連携することになったのです。

そして来年 2020 年には大規模なバージョンアップが予定されています。

(もちろん SmartHR も e-Gov API を利用しています!さらに e-Gov API を手軽に扱えるライブラリを OSS として公開もしています!) smarthr.co.jp

イベントの目的

そんな e-Gov ですがインターネット上には開発者向けの情報はあまり見当たりません。せっかく API を公開してるのに!もっと知見やノウハウを共有したい!それで便利なソフトが増えて電子申請の普及率が上がったら最高!という気持ちの高まりを原動力に、本イベントは企画・開催されたのでした。

社会保険システム連絡協議会について

今回のイベントは社会保険システム連絡協議会(略称: 社シス)の主催により開催されました。社シスは行政当局と社会保険・労働保険関係手続きの電子申請が可能なソフトウェア企業とを繋ぐ協議会です。電子申請の普及を目的として活動しており SmartHR はもちろん、様々な企業が参加しています。

社会保険システム連絡協議会

登壇内容

政府 CIO 補佐官、freee 社、SAP 社、SmartHR 社が登壇し、e-Gov にまつわるエピソードを様々な切り口でお話しをされました。

デジタル・ガバメントの実現に向けた e-Gov の取組(官民協働の取組)

元総務省技術顧問/政府CIO補佐官: 伊藤さん

2020 年に予定されている e-Gov のバージョンアップでは、主要ユーザである社労士を交えてワークショップ形式でサービス設計が進められました。 また API 対応サービスを開発している事業者と共に「Code for e-Gov」という検討会を立ち上げ、技術的な仕様の検討、意見交換を進めてきました。 このように次期 e-Gov は設計段階から官民一体で協業することによって、よりユーザ目線に立ったサービスを目指しています。

drive.google.com

次期 e-Gov の仕様を見てみる

株式会社 SmartHR: 内藤

実は SmartHR の誕生と e-Gov API の公開とは縁深いストーリーがありました。 また、SmartHR では電子申請対応ソフトが増え、より生産的な社会を夢見て(そして社外の開発者がメンテナンスに協力してくれるのではという下心を抱えつつ)e-Gov API 対応 OSS を公開したのでした。 そんな SmartHR の過去を振り返りつつ、前述の「Code for e-Gov」という次期 e-Gov の仕様検討会への参加を通じて知った、次期 e-Gov で変わること、新たにユーザに提供できるようになる価値についてお話ししました。

drive.google.com

e-Gov金融機関サイト表示APIでの苦労

freee 株式会社: @ymrl さん

人事労務 freee では労働保険の年度更新手続きに e-Gov API を利用しています。その中でも「金融機関サイト表示 API」に苦しめられました。API なのにレスポンスは「WEB ブラウザからの起動を前提」という記述を見たときには「API とは…?」と頭を抱えました。また、当時は Google Chrome 側の不具合によってフリーズしてしまうという現象も発生していました。(現在は修正済) 次期 e-Gov ではいい感じのレスポンスを返してくれるようになるかと期待していましたが、どうやらここは現状維持のようですね。

speakerdeck.com

SmartHRにおけるe-Gov利用状況調査

株式会社 SmartHR: 森住

唐突にはじまった SmartHR における e-Gov 利用状況クイズ大会。

以下のうち最も利用されている電子申請は?

1. 雇用保険被保険者資格取得届
2. 雇用保険被保険者資格喪失届
3. 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
4. 健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届
以下のうち最も処理時間が長いものは?

1. 算定基礎届(CSVファイル添付方式)(2019年5月以降手続き)
2. 算定基礎届(CSVファイル添付方式)
3. 労働保険年度更新申告
4. 厚生年金保険被保険者住所変更届(CSVファイル添付方式)

などの難問が出題されました。 出題者と伊藤 CIO 補佐官の解説に「なるほど〜」という声が多く聞こえました。

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SAP、Globalizationの舞台裏

SAP ジャパン株式会社: 竹内さん

SAP はドイツで創業して、現在では世界中にソリューションを提供しています。e-Gov 電子申請対応は SAP の標準機能に対して拡張機能として e-Gov API に対応したパートナーソリューションを提供しています。各国の行政システムとの連携情報を社内で共有しています。

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おわりに

イベント終了後の懇親会では参加者同士で各社の取り組みについて活発な情報交換が行われました。 e-Gov という一般の開発者にとってはやや馴染みの薄い分野での勉強会であった一方で、参加者にはピンポイントで刺さったイベントとなったように感じました。

また機会があれば第 2 回のイベントも企画したいと思います!

参考

e-Gov API について

https://www.e-gov.go.jp/shinsei/interface_api/www.e-gov.go.jp

主催

www.shashisu.org