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年末調整チームの品質保証における半年間の改善

年末調整チームの品質保証における半年間の改善

こんにちは。年末調整チームでプロダクトエンジニアをやっているkashiwara0205です。

私はチームの中で品質保証についてオーナーシップを持っています。 年末調整チームには専任のQAエンジニアがいないため、チーム内で品質保証に関わる業務の推進役を担当しています。

2024年11月頃から2025年7月の現在に至るまで、様々な施策にチーム全体で取り組んできました。 この半年間で取り組んだ内容や効果について時系列で紹介します。

不具合分析の実施(2024年 11月 ~ 2025年 1月)

まず、現状を知るためにQAエンジニア主催で不具合分析を実施しました。

今回の不具合分析では以下の傾向を確認しました。

  • 開発工程のどこに課題があるか
  • プロダクトの機能別発生傾向
  • コード別の発生傾向(フロントエンド or バックエンドなど)

この分析結果により、不具合の発生しやすいポイントが明確になり、通年のテスト戦略を立てる際に有用な情報となりました。

私、QAエンジニア、プロダクトオーナーの3人で過去一年分のバグチケットに対して、発生原因を割り当てて分析しました。

不具合分析を実施したことにより、年末調整の機能の中で不具合が発生しやすいポイントを特定できました。 この分析結果がテスト戦略の一部に使用されています。

2025年度 年末調整機能のテスト戦略の立案(2025年 1月)

年末調整機能は、1年の中でリリースするタイミングが1回だけという特殊なスケジュールで動きます。 そこで、2025年度 年末調整機能のリリースに向けたテスト戦略を私とQAエンジニアで立案しました。

最終的には、以下3種類のテストで今年の年末調整に向けた品質担保を図ることにしました。

バグバッシュ

不具合分析の結果、不具合が発生する可能性が高いと判明した機能に対してバグバッシュを実施することにしました。 バグバッシュとは、テストする機能と時間を決めて、隠れているバグをスクラムチーム全体で調査するイベントです。 色々な職種の人が色々な触り方をすることにより、隠れているバグを発見できるようになります。

現在、バグバッシュの実施は計画段階にあり、8月以降に実施する予定です。

シナリオテスト

最終確認として、βリリース前に正常ケースのシナリオテストを実施することにしました。 今年行った変更により既存機能が壊れていないかどうかの調査が主な内容になります。

こちらも現在、計画段階にあり、8月以降に実施する予定です。

探索的テスト

動作が変わる場所については探索的テストを実施することにしました。 探索的テストとは、テストチャーターと呼ばれる指針を用意し、テストの内容を実施者に委ねるテスト手法です。

あらかじめ指針はあるものの、テストの設計や実施は担当者に任されているため、検証内容にばらつきが生じやすく、多様なパターンでテストが行われます。

探索的テストの運用準備(2025年 2月 〜 4月)

年末調整チームでは探索的テストの経験がありませんでした。 そこで、探索的テストをチーム内で運用するための準備をQAエンジニアと整えました。

対応内容としては以下2点です。

  • 探索的テストの実施手順や目的を各チームメンバーに紹介するMTG
  • 探索的テストを運用するためのフローの整備

テストチャーターの作成と探索的テストの実施をスプリント内のチケットにする形で運用し、最終的にはチーム全員で独力で実行できるようになりました。 現在も探索的テストは運用されており、バグを発見できています。

QAエンジニアとの1on1を開始(2025年 3月 〜)

テスト戦略を立案した後、週に1回のタイミングでQAエンジニアと私との1on1を設けました。

この時間を使い、チーム内で課題となっていることや、テスト戦略を実施する上で障害となっている出来事を確認し合い、チームにアプローチをかけるようにしました。

チーム内で初めて導入した探索的テストを回すことができたのは、この時間による効果が大きかったと考えています。

フィーチャー(機能)単位でのテスト戦略(2025年 5月 〜)

税法に関する実装を担当した時に、探索的テスト以外のテスト手法も使えるよう柔軟にテストの方法を変えたいと考えました。

例えば、税法などが絡む計算ロジックなどは、探索的テストより境界値を意識した網羅的なテストの方が効果的です。

そこで、探索的テスト1本で挑むのではなく、他のテスト手法も合わせて使えるようにするために、機能ごとにテスト戦略をプロダクトエンジニアが立案できるようにしました。

テスト戦略をプロダクトエンジニアが考えることにより、スクラムチームにナレッジが蓄積される効果も狙っています。

バグチケットの運用フローの可視化(2025年 6月 )

バグチケットの運用フローについて、資料が存在しなかった問題が発覚したため、「バグチケットの運用について認識を合わせるMTG」を開催しました。

MTGの内容を基に可視化を行い、新規メンバーでもバグチケットについてキャッチアップできるよう資料を整えました。

可視化することにより、これまで見えていなかった課題が見えました。 棚卸しのタイミングが存在しないことや、どのようなバグチケットの優先度が高いと判断すればよいか分からないことが挙げられます。 今後、新たに浮上した課題をQA 1on1を通じてチームにアプローチをかける予定です。

おわりに

今回は、年末調整チームの品質保証における半年間の改善を紹介しました。 これだけ多くの施策を実施し、恩恵を受けられたのは、プロダクトエンジニアとQAエンジニアのコラボレーションにあると思っています。 今後も年末調整のさらなる品質向上に向けて取り組みたいと思います。

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