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ハックアワーのすすめ ── チームに「遊び」を取り入れ、中長期的な成長につなげよう!

このエントリは、SmartHR Advent Calendar 2024 シリーズ 2 の 13 日目の記事です。

こんにちは!SmartHR で新規プロダクトの開発をしている shun です。 この記事では、今期チームで行った取り組みの一つであるハックアワーについて紹介します。

ハックアワーとはなにか

それぞれのチームメンバーがプロダクトにあったら良いなと思う機能を自由に開発したり、開発プロセス改善のアイデアや事業を伸ばすためのアイデア出し合う取り組みです。

毎週金曜日の午後に実施しており、非同期のもくもく作業を 1 時間、同期の成果発表を 30 分固定で押さえています。参加は必須ではなく任意です。

以下はハックアワーの三か条ですが、見ての通り縛りは無く、ゆるい環境で運営しています。

  1. やることを Slack で共有しよう
  2. 好きなことをやろう
  3. やったことを Slack で共有しよう

また、私のチームは日常的に開発サイドとビジネスサイドが一緒になって活動しており、ハックアワーにはビジネスサイドのメンバーも参加しています。

実施した背景

ハックアワーを実施に至る背景として、個人的に以下の課題を感じていました。

  • 普段のスクラムでは目先の開発に追われるため、中長期的に事業を伸ばすためのアイデアを考えたり実践する機会が少ない
  • 普段の開発プロセスで感じているツラミを改善するための時間が取りにくい
  • LLM などの最新の技術をプロダクトで試す機会が少ない

当時のチームはスクラムの回し方も上手で、機能開発の不安はまったくなかった状況ではありました。しかし、中長期的に事業を伸ばしたり、チームがもっと強くなるためには「遊び」がもっとあっても良いのではと思ったのがハックアワー開催に至った理由でした。

実施したことの実例

2024 年 6 月からハックアワーを実施し、約半年でメンバーが実施した内容をカテゴリごとに分けると以下のようになり、合計 40 件のハックが行われました。

  • 新機能のアイデア:5 件
  • プロダクトの機能改善:3 件
  • 技術調査:10 件
  • 開発プロセス改善:9 件
  • ビジネスアイデア:8 件
  • その他:5 件

ここでは、この中から面白かったものをいくつかピックアップして簡単に紹介します。

新機能のアイデア:LLM を使った新機能の開発

具体的な内容は書けないのですが、プロダクトに LLM を組み込んだらどんな機能が実現できるか、実際のプロトタイプの実装までを行っていました。

LLM を使った機能がプロダクトに反映されることは無かったのですが、ここで生まれたアイデアから派生して、プロダクトのオンボーディングコストを下げる機能改善に実際に繋がったものもありました。最高!

技術調査:GraphQL の導入検証

チームのバックエンドエンジニアによる取り組みで、プロダクトのバックエンドの API を通常の REST から GraphQL に置き換えることで、開発生産性が上がるなどのメリットがあるのかを検証したものでした。 約 2 ヶ月、全 6 回にわたって検証が行われ、技術調査やプロトタイピングが行われていました。

結果的に GraphQL に移行することで大きなメリットは無さそうという結論に至りましたが、日常の開発では検証できないことを時間をかけて試せるのはハックアワーの良い点だと思いました。

開発プロセス改善:AI による Pull Request レビュー

PR レビューを楽にするために、pr-agentという AI によるコードレビューができるツールの導入を行っていました。

これは実際にチームの開発フローに組み込まれており、普段の開発の中で役に立っています。最高!

ビジネスアイデア

私のチームではまだ公開されていないプロダクトを扱っているため具体的なことは書けないのですが、ビジネスサイドのメンバーからも新たなアイデアが複数挙がりました。現在のプロダクトの延長上にあるものから、全く新しい視点のアイデアもあり、開発サイドのメンバーの刺激にもなっていました。

その他

その他にあったネタとして、開発合宿に関する雑談も行われました。合宿に行くなら何をやりたいか、どんな宿に泊まりたいか、行くならいつかなど真剣に(?)議論が交わされていました。

働き方のハックという意味ではこれもハックアワーにふさわしいネタなのかもしれません。

半年実施した上での所感

ハックアワーを半年実施した上で個人的に良かったと思ったポイントは以下のとおりです。

  • ハックアワーで考えたアイデアが実際にプロダクトに反映された
  • 普段の開発では触らない技術に触れる機会が生まれ、メンバーの成長につながった
  • 開発プロセスの改善が多く実施され、チームの開発生産性が向上した*1
  • ビジネスサイドのアイデアを咀嚼することで、開発メンバーの視野が広がった
  • 各メンバーが前のめりに参加してくれており、モチベーションの向上に一役買うことができた

一方で、伸び代だと思うポイントは以下のとおりです。

  • 他の業務や雑務に圧迫され、ハックアワーが雑務を処理する時間になることがあった(チームではこれを「現実アワー」と呼んでいた)
  • 開発メンバー(自分も含む)からも事業を伸ばすためのアイデアなどがもっと出ると良かった

このあたりは大きな問題ではないのですが、今後改善していけるとハックアワーの質がグッと上がっていきそうと思っています。

総じて、たった週に 1 時間半の時間でもたくさんの成果がでており、ハックアワーをやって良かったと思います!ハックアワー最高!

実施する上で気をつけたポイント

最後に、私がハックアワーを実施する上で気をつけていたポイントを紹介して締めたいと思います。

  • 自ら率先してハックをする
  • ビジネスサイドも巻き込む
  • ハックアワーを実施するためのカルチャーの醸成のため、普段から「遊び」をチームに取り入れる
  • 称賛の心を忘れない
  • 楽しむ

それでは皆さん、良いハックアワーを!

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*1:チームで利用している Findy Team+のサイクルタイムにおいて、過去半年で Elite の水準を維持できています。