こんにちは! SmartHRでアジャイルコーチしたり、筋トレしたりしてるkouryouです。
2025年3月14日(金)に、社内外のエンジニアやアジャイルコーチ、マネージャーをお招きして「AIが変えるソフトウェア開発 〜未来のアジャイルチームとは?〜」というイベントを開催しました。 本記事では、そのイベント内容をレポートしながら、SmartHRがどのようにAIとアジャイルを掛け合わせ、さらなる飛躍を目指しているかをお伝えします。
参加者数
当日の参加者は49名でした!
多くの方にお越しいただき、大変ありがたく思います。
開幕
今年SmartHRに入社したアジャイルコーチの和田さんが司会となり、開幕を宣言しました。

「生成AIが開発を加速する!Geminiで実現する次世代開発体験」
まずはGoogle Cloud Japanの北瀬さんから、AIの進化やトレンド、そしてGoogleの大規模言語モデル「Gemini」の魅力についてお話がありました。最新の大規模言語モデル(LLM)の進化は日進月歩で、新しい技術を追いかけるのが大変な反面、進化スピードが早く、開発効率が一気に高まる可能性もあるとのことです。

AIの進化がもたらすインパクト
AIの進化によって生じる大きな変化について触れられました。
- モデルの進化が驚くほど速い
- Geminiの1.5が大々的にリリースされたのが去年の2月なので、たった1年で大きく進化
- ドメイン特化モデルへの注目
- 汎用モデルから業界や業務、専門領域に特化したモデルへ移り変わる流れが加速。「自社独自のドメイン知識を活かすことが大切」とのこと
- AIエージェントの台頭
- 生成AIを活用したエージェント系ツールが増え、タスクの自動実行やレポート作成も可能に
- 「どんなプロセスに、どのタイミングで導入するか」で成果が変わる
Google Geminiの注目ポイント
さらに北瀬さんは、Googleが提供するLLM「Gemini」の特徴を以下のように解説しました。
- 長大なコンテキスト(ロングコンテキスト)に対応
- 長いテキストはもちろん、画像・音声・動画を含む大容量データを扱える
- 動画データから、シチュエーションの分析(例えば、調理中)や在庫状況の確認ができるなど、応用範囲が広い
- コストパフォーマンスが高い
- 競合他社モデルに比べて、利用コストや動作スピード面で優位があり、開発者に受け入れられやすい
Geminiの最新アップデートとしては、以下が紹介されました。
- Google AI Studioでの動画分析
- YouTubeのURLを貼るだけでタイムスタンプ付きの要約が得られる機能や、画像をアップロードして「背景を変える」「色を変える」などの編集をAIが行う機能も話題に
- GeminiアドバンスのDeep Research機能
- テーマや質問を投げると、論文・情報を横断的に調査してレポート生成
- 結果はGoogleドキュメントへエクスポート可能で、そのまま共同編集できる
「Geminiはアップデートが頻繁で追いかけ続けるだけでも大変ですが、そこにこそ大きなチャンスがある」と北瀬さんは強調していました。
「AI活用の壁を超える! 開発組織への普及の秘訣」
続いて私kouryouより、社内でどのようにAI活用を推進しているか、そしてアジャイルチームの今後の姿について登壇しました。

なぜアジャイルコーチがAIを推進?
アジャイルコーチの役割は、組織やチームの生産性向上や働き方の改善。一方、AIも生産性の向上や仕事のやり方を根底から変える力を持っています。
両者の目的は密接に関わっており、AI推進にアジャイルコーチが関わるのは自然な流れと考えています。
AI導入を加速させる3つの仕掛け
社内で実践している仕掛けを3つに分けて説明しました。
- 安心して使える状態を作る
- AI活用ガイドラインを策定
- 適切な使用方法・リスク管理・基礎知識など、最低限クリアすべきポイントをまとめた
- 「これを読めば、まずは安心して使える」というベースを明確化
- AI活用ガイドラインを策定
- 活用事例を増やす
- 有志チームでPoC(Proof of Concept)を回して成功パターンを蓄積
- Value Stream Mapping(VSM)で開発フロー全体を可視化し、工程ごとに「AIを組み込めそうなポイント」を洗い出す
- 成果が出たら他チームへ横展開し、組織全体へ広げていく
- 共有・再利用できる仕組みづくり
- 最初はスプレッドシートに活用事例を書き溜め
- 成功例は社内ナレッジツールへまとめて、誰でも参照・再利用しやすい形に
具体的成果例
現時点で出ている具体的な成果例を紹介しました。
- リリースノートやヘルプページの効率化
- AIが下書きを生成し、最終確認だけを人間が行うスタイルで作業時間を大幅削減
- SQL生成の自動化
- 「こういうデータが欲しい」と日本語で書くと、AIがクエリを自動作成し、実際に分析結果が得られる仕組みを実験中
これからのアジャイルチームの未来予想
最後に、AIが進化した先のアジャイルチーム像を描きました。
- 仕様書駆動開発への回帰?
- AIがコードやテスト、ドキュメント、ヘルプ作成まで自動生成できるなら、仕様書をしっかり整備しておけば開発全体がスムーズになりそう
- ずっとディスカバリーし続ける日々に?
- 実装やリリースが爆速になるなら、毎日ユーザーと対話→すぐ実装→即フィードバックという「ディスカバリー中心」の開発スタイルが現実的に
- 2〜3人の少人数クロスファンクショナルチームになっていく?
- AIが作業を肩代わりする分、必要なのはビジネスと開発、デザインを横断できる少数精鋭チーム
- 小回りの効いた運営で高速に価値をリリースできる
AIファーストの未来で、アジャイル開発そのものが大きく姿を変えるため、そのシフトを先取りしていきたいと考えています。
「スクラム×AI AIの力でスプリントを駆け抜ける」
最後に、SmartHRのbuchyさん(エンジニアリングマネージャー/スクラムマスター)から、スクラムイベント(スプリントレビュー、レトロスペクティブ、リファインメントなど)でAIを活用している事例が共有されました。

スプリントレビュー
スプリントレビューの準備に時間がかかること、そしてデモ中心で対話が減りがちという課題に対して、工夫を行いました。
- レビュー用のアジェンダや問いかけをAIに作ってもらう
- スプリントのゴール、作った機能、聞きたいことなどを入力すると、たたき台がすぐ生成される
- ステークホルダーとの対話が活性化しやすくなった
レトロスペクティブ
改善アクションが抽象的で終わりがちという課題への対策が紹介されました。
- 付箋から抽出した課題をAIに渡し、追加で深掘りすべき質問や具体策を提案してもらう
- AIを“ジュニアメンバー”とみなし、チームの背景を補足しながら回答を精緻化すると、思わぬアイデアに出会える
リファインメント
最後に、要件定義や受け入れ基準の抜け漏れが多いという問題に対するアプローチが紹介されました。
- まとめたUser Storyや受け入れ基準に対し、「ここが不十分」「これを確認すべき」というレビュー観点をAIに出してもらう
- チームのルールやコンテキストを補足すれば、質の高いフィードバックが得られるようになった
「AIをチームメンバーと捉え、コラボレーションすることで、チームが完了に向けてエネルギーを注げる」とbuchyさんは強調していました。
懇親会
懇親会では、登壇者へのQ&Aと、参加者のAI活用の取り組みを情報交換でき、大変盛り上がりました!

感想
AIの進化の早さを改めて実感するとともに、参加者の会社での様々なAI活用事例を聞くことができ、個人的にも大変勉強になりました。 まだまだ各社試行錯誤している段階だと思うので、今後もイベント開催して情報交換できたら嬉しいです!
イベント運営に関わってくださったGoogle Cloud Japanの北瀬さん、SmartHRの方々、そして当日お越しいただいた皆様、改めてありがとうございました!
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