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顧客の本音はユーザー交流会にあり〜顧客に会いに行こう〜

こんにちは!SmartHRのPMのgackeyです。今日は、インサイト獲得に関するお話です。

ユーザーの課題やプロダクトに対する本音を聞く機会が欲しい、というのは、すべての開発者の望みといっても過言ではないでしょう。私たちも、ヒアリングやユーザーテスト、アンケート、商談への同席など、さまざまな手段を通じて、できるだけ生に近いユーザーの声を受け取る機会を作っています。

一方で、特にユーザーヒアリングでは「顧客企業 対 提供企業」、商談では「対価を払う価値があるかの見極めと交渉」という前提を払拭しきるのはやはり難易度が高く、THE 本音らしき意見を広く深くうかがうのはなかなかに難しかったりもします。

先日、そんな悩みにズバッと刺さるイベントがあり、感動するレベルで刺激と学びをいただいてきたのでレポートします!

参加したのは、関西の大手企業ユーザーの意見交換会です。 SmartHRを実際に管理・運用されている大手企業の担当者様が集まり、SmartHRのことに限らず、システム活用や業務の推進における悩みや意見を交わし合うイベントで、関西での開催は2回目です。

会場の様子。思ったよりものすごく大規模でびっくりしました!

イベントの内容

当日は、こちらの3つのコンテンツが行われました。

  • ユーザーによる活用プレゼンテーション
  • 参加ユーザー同士のグループディスカッション
  • プロダクトバザール 兼 フリートーク

私たちもグループディスカッションのテーブルに参加させてもらい、またプロダクトバザールの時間には設置したブースでデモを行いました。 開発中の新機能のコンセプトやプロトタイプに対して、一度に多くのユーザーから多角的に質問やFBをいただける、とても貴重な時間となりました。

参加メンバーの声

つらつらした説明より、事後の実感がすべてを物語ってくれそうなので、ここからは参加したプロダクトマネージャーとエンジニアの複数名の声を取り混ぜてどんな場だったかをお伝えしてみます。

「ぶっちゃけ」な声に感じた発見・喜び

やはり刺激的だったのはユーザー同士のグループディスカッションです。当日は、「え〜!そんなことまで聞いちゃっていいの!?」とちょっとドキドキするようなお話まで飛び出してくるくらい、オープンで率直な会話が交わされていました。以下、特に聞けて良かったと感じたことをご紹介します。

  • 普段はそれぞれの顧客から点で聞く要望や課題感が、顧客同士での会話の中で話されることにより線や塊となって認知することができた。
    • システム間の連携や本部から従業員への周知、紙で渡さざるを得ない部分などをリアルに実感できたことが大きかった。
  • 顧客ごとの労務全体の運用の仕組みについて知れた反面、何に困っていて今どうしているのかを知らないことに気づいた。
  • どの業務においてどのシステムをなぜ選ぶのか、そこにかけるコストは妥当か、という生々しい話が、ユーザー同士の会話の中で自ずと引き出されて伺うことができた。特に、担当者にとっての妥当性と、決裁者にとっての妥当性のギャップも大いに共感を呼んでいたことが印象的だった。現場に寄り添う価値を届けたいなら、顧客とともに上申しようという関係や意味づけが欠かせないとわかった。

ユーザー同士の交流で場があたたまり・くだけていたこともあってか、デモブースでもかなり活発に質問・意見が飛び交っていました。

  • 検討中の新規プロダクトについて、ぶっちゃけベースで聞くことができた。
    • どこから有償提供でもOKそうか?実際のプライシングどうするか?といった踏み込んだ話をかしこまりすぎずに聞ける機会だった。
  • 担当領域である「労務」におけるSmartHRへの期待感を改めて感じることができた。 バザールでは「労務業務全般」というざっくり名称でブースを出していたがすぐに何社も見に来られた。「労務で新しくなにが出るんですか?」という感じで話し始めるユーザーが多く、まだまだ労務担当者からすると不足/不十分が多いのだな、と実感した。
  • 顧客の反応から、自分と顧客それぞれにとっての「当たり前品質」と「魅力的品質」のズレにハッとした。

どのデモブースも入れ代わり立ち代わりユーザーが訪れ、大盛況でした

「やっていき」につなげたい気づき

続いて、参加者が「気が引き締まった・より頑張りたいと感じた」ことも。

  • ユーザーが新しい機能やプロダクトを触るのは、今の業務が効率化できてからであるということを改めて実感した。 「年末調整や手続き、身上変更などの業務が一定効率化できたから、新しい機能の導入拡張を検討し始めている」という例を複数社伺い、なるほどなと。マルチプロダクト戦略において、サービスの大通りである労務機能でのカスタマーサクセスがとても重要なことを再認識した。
  • (新機能開発も大事だけど)長すぎてシンプルに使いづらい画面があるなど、既存機能で当たり前品質を満たせていない部分についても温度感を持って理解できた。

これらのコメントを重ねて読んでみると、自分たちの中でどうしても優先度が上げられずにきたご要望について、マズさの意味がこれまでと変わって感じられてきます。不足だと思っている機能を早く届けることは重要ですが、「その前に…」と思われている部分が本当にないか、ふと立ち止まる機会も作っていく必要がありそうです。

また、私たちとしては、この先もまだまだ提供価値の拡張をしていこうと考えているものの、ユーザーとの認知・認識のギャップもさまざまに感じることができました。

  • 中にはゆくゆくSmartHRにすべて移行していきたいという方もいたが、「SmartHRはあくまで部分的に使うもの」という認識の方もおり、顧客イメージにおけるプロダクトのポジショニングを変えていく壁は高い。
  • 何年も前にリリースされている(契約プラン内で利用可能な)プロダクトを知らなかった顧客にも出会い、“デプロイ”と“価値提供”のギャップにも驚いた。単に認知してもらう機会をつくれていないのか、新しいことを試す余裕を生めていないのか、提供価値<試すコストと感じられているのか…。
  • 自分たちのチームで取り組もうとしている課題に対して「(そこは)苦労するのが当然なので、他の課題を」感を感じたが、こういう当たり前の非合理を取り払っていきたい。

特定の機能やプロダクトの文脈に縛られすぎないぶん、ユーザーの業務全体像の中で私たちにとって盲点だった部分に光が当たったり、「新機能の提供≒避けがたい学習負荷」が足し算・掛け算になることにハッとしたり…視点や立ち位置がくるくると変わっていくことでしか実感できない気づきがありました。

ユーザー同士がヒントを得ようとしているからこそ、生々しい

特に印象的だったのは、ユーザー同士の意見交換が進むにつれて、共通の課題や成功事例が自然と共有されていったことです。たとえば、ある企業が「社内でのSaaS定着を進めるためにどのような工夫をしたか」を話すと、他の参加者から「うちでも似たような取り組みをしているが、そこまでは考えが及んでいなかった」との声が上がり、具体的な改善策が見えてきました。

開発側からすると「こう使ってもらいたい」と思っていた機能が、実際には違った形で活用されていたり、逆に「ここは当然分かるだろう」と思っていた部分が大きな障壁になっていたりすることに気づかされました。あるエンジニアは「ユーザーの視点に立つことの大切さは分かっていたつもりだったが、実際の会話を通じて、まだまだ理解が足りていないと感じた」と振り返っていました。

個別の機会をもらうだけじゃなく、四つ辻に立つ、井戸端に行く

やっぱり、オフラインでしかわからない熱量があります。空気やアイコンタクト等で放たれる「本当に困ってる」感、開発途中のプロトタイプに対する喜びや感激も、ひしひしと伝わってきました。 また、他社の参加者の質問に促されて発せられた質問や意見も多く、多くのユーザーが集まっているからこそ、良い意味で非常に発散的な意見交換やFB収集の場になりました。

プロダクトFBの定番はやはり個別のレビューやヒアリングの機会が中心です。ですが、目的や文脈を固定しすぎない交流の場でしか伺い知れないことがこんなにあるのか、というのが最も大きな発見でした。 今後も積極的に、ユーザー同士の交流の場に飛び込みにいってこようと思います!

セールスチーム、サクセスチームと一緒にものづくりをする大切さ

…と、元気よく「いってきます」宣言をしましたが、かといってこんな場がいつだってある・行けるわけではありません。今回のイベントへの開発メンバーの参加も、イベント企画者であるエンタープライズマーケティング担当のbassyさんから声をかけてもらって始まったことでした。「ユーザーが集まる場に開発者が参加することで、顧客のプロダクト理解×開発チームのより良いものづくり の双方が加速するはず」とカスタマーサクセスチームが思っていてくれてはじめて起こることです。 弊社の新バリューのひとつ、「人が欲しいものを超えよう」へ向かうために、ますますチームの垣根を超えてものづくりをしていくことの大切さを実感したできごとでした。

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