あるSNSのアイコンを見るたびに、思い出す話がある。
その話は、正体不明のアカウントにフォローされたことから始まった。 IDは数字の羅列。アイコンは真っ黒。投稿もフォロワーもゼロで、フォローしているのは私だけ。自己紹介欄には「.」が打たれているのみ。 よくある捨て垢だろう。しかし、なぜか気味が悪く感じて、ブロックしようとした。
だが、ボタンを押すと画面が一瞬フリーズし、「エラーが発生しました」と弾かれる。何度試しても同じだ。薄気味悪さは感じたが、実害はないだろうと放置することにした。 翌日の夜、そのアカウントからDMが届く。
「あなたを見ています」
既読をつけたくなくて、通知だけ見て無視した。しかし翌晩、また届く。
「今日も見てました」
返信は決してしなかった。だが、メッセージの内容は日を追うごとに具体的になっていく。
「グレーのコート、よく似合ってますね」
その日、確かに着ていた。写真は撮っていないし、誰とも会っていない。偶然か?
「駅前のタピオカ屋、美味しかったですか」
昼休みに一人で寄った店だ。SNSには載せていない。誰にも言っていないはずなのに。
「今、青いパジャマですよね」
その通知を見た時、私はまさに青いパジャマを着ていた。
全身が粟立つ。すぐにすべてのカーテンを閉め、ベランダも確認したが誰もいない。 でも、どこかで見られている。どこから? 今も? なぜ? どうやって? 思考が巡るほどに恐怖が増し、たまらず私は夜中のコンビニへと駆け込んだ。人がいる場所なら安全だと思ったからだ。 店内の明るい照明に少し安堵し、震える手でスマホを確認する。……また、来ていた。
「二丁目の〇〇まで、そんなに急いでどうしたんですか。アイスコーナーの前で立ち止まるなんて、そんなにアイスが食べたかったんですか」
現在地まで筒抜けだった。急いで店内を見回すが、客は若いカップルが一組だけ。店員も普通に品出しをしている。誰だ。誰が私を見ているんだ。
もう一度、例のアカウントを開く。真っ黒だったアイコンが、更新されていた。 それは――今いるコンビニの、天井の防犯カメラ映像だった。 少し斜め上から撮られた、リアルタイムの店内。画面の右下には、スマホを凝視して立ち尽くす私の姿。
と、そこで気づいてしまった。 映像の中、私の背後にある冷蔵庫の棚の陰に、フードを被った人影が立っていることに。 カメラ越しに、じっとこちらを見ている。私が見ていることを、知っているかのように。
背後を確認しようと、ゆっくり振り向きかけた瞬間。 スマホが震えた。新しいDMだ。
「11月にSmartHRに入社しました。よろしくお願いします。」
書いている人間は誰で、なぜこの記事を書くのか
はじめまして、ydahです。読み方が分かりづらいIDですが、「わいだー」と読みます。私は2025年11月にSmartHRに入社しました。 今はプロダクトエンジニアとして、SmartHRの外部サービス連携基盤を開発しています。
私はRubyというプログラミング言語や、Ruby周辺で育まれているコミュニティが大好きです。生まれも育ちも大阪で、Kyobashi.rbという大阪の京橋を拠点にしたRubyコミュニティの主催もしています。 2024年からは大阪Ruby会議や関西Ruby会議のチーフオーガナイザーを務めています。
趣味としてオープンソースソフトウェアの開発を行っており、Rubyコミッター、Ruby製のLRパーサージェネレーターであるLramaのコミッターとして、主にRubyの構文解析器の改善に取り組んでいます。 その他にも、rubocop-rspecやcommittee、rspec-sidekiqなどのRubyGemsのコミッターとしても活動しています。
この記事では、私がSmartHRに入社を決めた理由や、実際に働いてみてどう感じているかを、一人のプロダクトエンジニアの視点から率直にお伝えしたいという思いで書いています。
なぜ私はSmartHRに入社を決めたのか
私がSmartHRに入社を決めた理由は、たくさんの魅力的な要素があったからです。本記事では、その中でも2つのポイントに絞って紹介します。
挑戦し成長できる環境がそこにあった
SmartHRは今後の方針に『マルチプロダクト戦略』を掲げ、労務管理領域・タレントマネジメント領域を中心にプロダクトを拡大・成長させていくことを目指しています。 この拡大・成長を牽引するためには、多くの課題に向き合う必要があると感じました。
この記事を読んでいる方の中でも、SmartHRと聞くと労務管理をイメージする方が多いのではないでしょうか。転職を考える前の私もそう思っていました。 確かに労務をメインとしたバックオフィス業務の効率化を支援するプロダクトとして認知されているかと思いますが、働く人のムダを省くだけでなく働く人が能力発揮・成長して業務成果を最大化することを支援するタレントマネジメント領域にも注力しています。 このように今SmartHRは「人的資本経営プラットフォーム」への進化を目指しており、つまりそれは多くのチャレンジが待ち受けている環境であると感じました。
選考の中で多くの社員と話す中で、変化に向き合いながらプロダクトとチームとして成し遂げることを大事にしていると感じました。 そこにはチームの自律性の高さも垣間見え、主体的にプロダクトに関わっている印象を受けました。 そういった空気が自分にとって魅力的に映り、「ここでなら自分も挑戦し成長できるのではないか」「この人たちと一緒に働きたい」と思うようになったのが私がSmartHRに入社を決めた理由の1つです。
子の世代に何を残せるのか
この問いは私が技術者としてもっとも大切にしているものです。 私たちは人生の中の限りある時間の中で、技術を学び、学んだ技術を使い、そして次の世代になにかを残します。 その「残すなにか」というものを大切にしています。
SmartHRのミッションは「well-working」として次のように定義されています。
労働にまつわる社会課題をなくし、 誰もがその人らしく働ける社会をつくる。
私やあなたもそうであるように、多くの人にとって「働くこと」は人生の大部分を占めるものです。 働くことは人生の多くの時間を使い、自分や他者に大きな影響を与える行為です。
人生の多くの時間を過ごす「働く時間」がより良いものになることは、個人の幸せだけでなく、社会全体の幸せにもつながると私は信じています。 そんな未来を子の世代に残したいという思いが、私がSmartHRに入社を決めた大きな理由の1つです。
その人がその人らしく働ける社会をつくるために、SmartHRの一員として少しでも前に進めることができることを嬉しく思います。 私も私らしく働きながら、SmartHRが目指す未来の実現に向けて一緒に歩んでいきたいと考えています。
子が働く年齢になったときに、彼らが活き活きとして働いている。そんな未来を楽しみにしています。
SmartHRで働いてみて感じたこと
私はまだ入社して間もないですが、実際にSmartHRで働いて感じたことをいくつか紹介します。
HRTとフィードバックを大切にする文化
私はSmartHRにHRT(Humility, Respect, Trust:謙虚、尊敬、信頼)とフィードバックを大切にする文化が根付いていると感じます。 SmartHRのバリューの1つに「象」がありますが、言いにくいこともお互いに伝え合い、より良いチームやプロダクトを作っていこうとする文化があると感じます。
たとえば、オンボーディングプログラムの中でも、フィードバックを題材にしたオリエンテーションがあります。少なくとも私は、入社時のオンボーディングプログラムでフィードバックを題材にしたものがあったのは、はじめてでした。
ここでフィードバックと聞くと、ネガティブなもの(社内ではギャップフィードバックという言葉を使います)の印象が強いかもしれません。しかし、SmartHRではポジティブなフィードバックも大切にしています。建設的なフィードバックを通じて、人や組織に前向きな変化をもたらそうという意図が感じられます。 その姿勢には謙虚であり、相手を尊敬し、信頼するHRTの精神が根底に宿っています。フィードバックをするには相手を尊重し、信頼関係が築かれていることが重要ですし、謙虚な姿勢で受け入れることも大切です。
実際に働いてみて、これらの心を持たない人を私はSmartHRでは見たことがありません。それくらいに価値観や文化のマッチを重視した採用を行っているのだろうと感じます。 これは同じくHRTを大事にする人にとっては、とても働きやすい環境だと思います。心理的な安全性が高く、安心して意見を言い合える環境が整っています。
チームやプロダクトへの強い思い
私がSmartHRで働く方と話していて強く感じるのは、チームやプロダクトに対する強い思いです。 プロダクトに関わるすべての職種の同僚が、互いに尊敬し合い、自分たちの立ち位置から対等な議論でプロダクトをより良くするために意見を交わしている姿が印象的です。
もちろん職務も異なれば視点も異なります。これがとても良い点で、普段の自身の職務では考え及ばない視点や意見を聞くことができ、プロダクトを多角的に捉えることができます。 先述したHRTの精神は、対等な議論の土台になっているのだと感じます。相手の専門性を尊重し、信頼関係を築き、謙虚に意見を聞く姿勢がなければ、職種を超えた建設的な議論は成立しません。
そのため、非常に前向きな議論が多く、とても良い文化が浸透している組織だなと感じます。 このようなカルチャーは決して簡単に築けるものではなく、これまでの積み重ねがあってこそだと思います。私もこの文化を大切にし、より良いチームやプロダクトづくりをしていきたいです。
最後に今この記事を見ているあなたに伝えたいこと
この記事を最後まで読んでくださり、ありがとうございます。 私がSmartHRに入社を決めた理由や、実際に働いて感じたことを書きました。少しでもSmartHRに興味を持っていただけたなら嬉しいです。
もしかすると、あなたも今キャリアの岐路に立っているかもしれません。 「自分はどんな環境で働きたいのか」「何を大切にして働きたいのか」「技術者としてどう生きるのか」——そんな問いと向き合っている方もいるのではないでしょうか。
私自身、転職を決めるまでには多くの葛藤がありました。 慣れ親しんだ環境を離れる不安、新しい場所でやっていけるだろうかという心配。そういった感情と向き合いながら、それでも「ここで挑戦したい」と思える場所を探していました。
SmartHRは、私にとってその場所でした。もし、この文章を読んでいるあなたにとってもSmartHRがその場所なのかもしれないと感じられたなら、ぜひ一度話をしてみませんか?
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