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価値を最短距離で届けるためのPdMとチームの取り組み【SmartHRのPdM連載第5弾】

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みなさん、こんにちは!SmartHRでプロダクトマネージャー(PdM)をしています岸(@kissy)です。本記事では、「SmartHRのPdM」連載企画の第5弾として、SmartHR本体のPdMである中村さんのインタビュー記事をお届けします。SmartHRに入社するまでのキャリアから、中村さんが所属するチームでのクロスファンクショナル化の取り組みなど、多くのことを語っていただきました。

中村太紀
新卒ではWeb業界でない会社へ入社したものの、独学でプログラミングを学びWeb業界に興味が湧く。その後、WebディレクターとしてGoodpatchに入社し、toCからtoBまで多くのプロダクト開発を経験。2019年の1月にSmartHRに入社し、現在はSmartHR本体のPdMを担う。

モノ作りの楽しさを知りWebディレクターへジョブチェンジ

岸:今日はよろしくお願いします!まずはfutosiさん(中村さんの社内ニックネーム)がSmartHRに入社する前の話を聞かせてください。SmartHRは何社目の会社でしたっけ?

中村:SmartHRは3社目ですね。

岸:新卒で入社した会社はどういう業界だったんですか?

中村:最初に入社した会社は業界だけでなく業種も全然違って。音響と照明のオペレーション業務を中心に展開していた会社で、私自身はテーマパークのショーの音響と照明のオペレーションをやってましたね。

岸:えー!本当に全然違いますね(笑)。

中村:ピンスポットっていうキャノン砲のような大きな機材でライトをキャラクターに当てたりしてましたよ(笑)。

その仕事をしつつ、家に帰っては当時流行っていた、ドットインストール(プログラミング学習サービス)でプログラミングを勉強していました。ドットインストールを進めていくうちに、そっちの方が楽しくなってしまいましてWebやアプリに対する興味が増してきてしまい、転職活動を始めたのが2012年の夏ごろですね。

岸:そこから2社目のGoodpatchとの出会いですね。

中村:はい。その当時、私がよく使っていたニュースのキュレーションアプリがあるのですが、そのアプリのデザインリニューアルをGoodpatchが担当したという特集記事を見かけて、「世の中にはスマホのアプリのデザインを請負う会社があるんだな、面白いな」と思ったのが最初の出会いでしたね。

岸:独学でプログラミングを学んで未知の業界にジョブチェンジってすごいチャレンジですね。Goodpatchにはどういう職種で入社したんですか?

中村:職種はたしかWebディレクターという肩書きだったと思いますが、実績がなかったのでインターンとして入社しました。。面接ではフロントエンジニアにもなりたくて、どっちもやりたいと言って入社した記憶があります。実際の業務は、フロントエンドエンジニアというよりコーダーの方が近いですね。HTMLやCSS、たまに簡単なJavaScriptを書いたりしてました。

岸:へー、エンジニアのバックグラウンドがあったの知らなかったです!そこからSmartHRを知ったのはどんなきっかけだったんですか?

中村:当時GoodpatchがSmartHRを使っていたからですね。これまで手書きで行っていた年末調整をオンラインで完結できて、すごい便利だなと思いました。それが2015年〜2016年頃だったかな。

岸:転職を意識したのもこの辺りですか?

中村:いえ、SmartHRに出会ってすぐ転職を決意したわけじゃなかったんです。GoodpatchではBaltoというスマホ向けのフィードバックツールのPdMを担っていたんですが、そのサービスがクローズして、一区切りついた頃に転職を意識しました。 ただその当時関わっていた別のプロダクトがあったのと、組織としても大きな課題に直面していた時期だったので、中途半端な状態で抜けたくないと思ったんですよね。転職するとしてもちゃんとやり切りたいなと。

その後、自分の中である程度やり切ったかなという感覚があり、組織の状況も良くなってくる兆しが見えたタイミングで、次のチャレンジをするために新たな場所に行こうと思いました。

可処分時間を増やすのが業務系プロダクトのPdMとしてのやりがい

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岸:二度目の転職活動において、何か軸はあったんですか?

中村:toB SaaS領域のPdMに絞っていましたね。

岸:その心は?

中村:toB、特に業務系プロダクトの価値って、お客さまの可処分時間を増やし、お客さまが本来やるべきことに時間を割けるようになることだと思うんです。逆に、toCのプロダクトは可処分時間を豊かにするようなプロダクトが多いですよね。toB、toCのどちらのプロダクトにも携わったことがあるのですが、業務の無駄を無くし、業務の効率化に貢献することにやりがいを感じるタイプの人間だったので、toBに絞って転職活動をしていました。

あともう一つ、圧倒的に成功していくであろうプロダクトに関わりたいという想いもありました。今であればいくつかその候補となる会社は思いつきますが、その当時は上の2つの条件に合致するのはSmartHRぐらいしか思い当たらなかったですね。

岸:業務プロダクトの面白み、やりがいとても分かります。ちなみに、futosiさんが入った当時と今とではSmartHRの規模は全然違いますよね(futosiさんは社員番号100番、2021年3月現在の社員数は350人以上)。会社の雰囲気について、変わったなと思うところはありますか?

中村:実は、入社した最初の頃はあまり会社の雰囲気が好きじゃなくて(笑)。私は「血が濃い」という表現を使ってましたが、やや内輪ノリが強いなって。離職率がとても低いことも関係しているのかもしれません。ただ、今はその雰囲気がいい意味で薄まってきて、いい状態になっていると感じます。今は社員数が350人以上になりましたが、その規模になっても多くの人が高いレベルを目指していて、怖いぐらい健全に見えてます。

機能の豊富さと簡単に使えることをどう両立させるのかが肝

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岸:では続いて、ご自身が担当しているプロダクトとチームについてお話聞かせていただければと。現在手掛けているプロダクトについて簡単に紹介いただけますか?

中村:私はSmartHR本体(※)の開発に携わっていて、現在は主に申請機能を担当しています。交通費の申請だったり、給与振込口座の申請だったり、会社に所属していると様々な申請を行うと思いますが、なるべく楽に効率よく申請業務をこなしてもらうための機能を作っています。

※SmartHRは、人事データベースの役割を持つ「SmartHR本体」と、そのデータを活用するアプリケーション群である「プラスアプリ」で構成されています。

岸:従業員の情報を収集するという、まさにSmartHRの入り口であり欠かせない機能の一つですよね。直近で向き合っている課題はありますか?

中村:大企業の運用にも耐えうる機能開発です。例えば組織改編ごとに大量の申請経路が変わり、その申請経路の運用管理が煩雑で大変という課題があります。単に申請行為そのものだけでなく、労務担当者が行う管理業務をいかに楽にできるかというのも大事ですね。

岸:なるほど。会社の規模によっても、どういう申請経路を作りたいか全然違いそうですよね。

中村:そうですね。大企業のお客さまからは、いかに汎用的な申請経路を作れるかを期待されます。汎用的に作れないと、管理する申請経路の数が膨大になっちゃいますからね。一方、比較的規模の小さい会社さまでは、バイネームで承認者を指定できれば十分ということもあったりします。

お客さまの業種や業態、会社の規模が多種多様になってきているので、どこまで細かいユースケースを加味して仕様に盛り込むかも難しいところです。例えば、承認者のスキップ機能(承認者が不在の場合や、申請者より役職などが低い承認者の場合は承認をスキップできる機能)や別のワークフローシステムから承認経路をインポートする機能などを求められたりしますが、すべてのお客さまが使うわけではありません。そのような機能をどう盛り込むかは悩ましいところですね。

岸:業務プロダクトあるあるの悩みですよね。そのような課題に対して、仕様を考える上で気をつけていることってありますか?

中村:エンジニアやデザイナーともよく話すのですが、できることを増やすことと、簡単に使えることを両立するのはとても難しい問題ですね。ユースケースが限られる機能はオプション機能みたいなものだと思っていて、使いたいときに使えるよう用意しておく、ただし、普段は目立たない場所に配置しておくなどは心がけています。

最短距離を目指しクロスファンクショナルなチームへ

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岸:続いて、申請機能を一緒に作っているチームのことについて教えてください。SmartHR本体の開発はLeSS(Large-Scale Scrum)でやっていて、申請機能を作っているチームはその中の1チームですよね。

中村:はい。私が所属するチームは私、エンジニアが4名、デザイナーが1名、QAが1名、UXライターが1名という体制です(兼務している人も含む)。特にエンジニアはシニアな方が多く、落ち着いた安定感のあるチームですね。

岸:私の中では、申請機能を担当しているチームは開発プロセスのカイゼン活動を積極的にしている印象があります。タスクの視える化をしてたり、異なる職種の人のタスクを他の職種の人が取れるようにしてたり。

中村:そうですね。これまでPdMやデザイナーのタスクはスクラムのプロダクトバックログとは別でそれぞれ管理していたのですが、「あのタスクの進捗はどうなっている?」、「仕様決めの進捗はどうなった?」っていう不安の声が上がったことをきっかけに、チーム全員のタスクを同じボードで管理するようになりました。PdMやデザイナーのタスクもリファインメントするんです。

また、クロスファンクショナル化の一環として、QA以外のメンバーもQAを行う試みもしています。私もテストケースを書いたり、QAメンバーと一緒にQAをしたり。他にも、プロダクトの簡単な文言修正であれば、エンジニアでなくともできる状態にもなっていますね。

クロスファンクショナルな状態をどこまで目指すのかはチームの考え方次第だと思いますが、私の所属するチームのメンバーは、どんな職種のタスクでも、誰もがどんどん取れるようになりたいと考えている人が多いのが関係しているかも知れません。 結果として開発速度が上がり、お客さまに価値あるものを早く届けられる状態を目指したいと思っています。

岸:開発プロセスのカイゼン活動について、PdMの観点で取り組んでいることもありますか?

中村:上記であげた話になってしまいますが、検討中の仕様を、1週間に1度チームでリファインメントする時間があります。なるべく早く仕様を共有することで多角的な視点でレビューをもらうようにしています。

一人で仕様を考えていると、どのタイミングで仕様の相談をするべきか、つい悩んでしまうことってあります。検討中の仕様を気軽に相談できるようになったことで、精神的にも楽になりました。みんなでプロダクトを作る雰囲気があるおかげで、躊躇なく相談できますし、一人で悩む時間が減った結果、開発速度も上がっていると思います。

岸:とてもいい雰囲気ですね。SmartHR本体は4人(2021年2月時点)のPdMで協働してますが、複数のPdMと一緒にプロダクトを作るのはいかがですか?

中村:これまでのキャリアの中でも、複数のPdMと働くのは初めてなのですが、違和感がまったくないんです。それぞれのPdMの役割分担がしっかりされているからなのか、働きやすいなと感じます。LeSSにどう関わっていくべきなのか、SmartHR本体としてどうあるべきなのかをみんなで考えて、常にカイゼンしている雰囲気があるのもいいですよね。このメンバーなら心配事は一切ないです。

お客さまと対話し、仮説や課題を明確にする

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岸:以前「ドラッカー風エクササイズ」のワークショップをした際、ユーザーインタビューが好きと言ってましたよね。その理由を改めて聞いてもいいですか?

中村:実際に自分たちが作ったプロダクトを使っているお客さまを見ると、単純に嬉しいんですよね。「あの人の業務時間をめっちゃ削減できた!」と思えるのが良くて。

お客さまが困っているユースケースを具体的にイメージできるようになりますし、なんとなく想像で考えていた仮説や課題がユーザーインタビューを通じて明確になっていく過程も好きです。

岸:お客さまとの対話を大事にするfutosiさんについて、チームメンバーからの印象を聞いてきたので眺めてみましょう。

  • リファインメントやプランニングの際に、エンジニアがここどうしようかと悩んだ時、ユーザーインタビューなどを通じてユーザーの言動・行動から発見した課題や解決策をチームに伝えている印象があります(エンジニア)
  • お客さまからの意見を実際に打ち合わせに出席して聞いてみたり、PMMの方からキャッチアップしてプロダクトに反映してくれている(QA)
  • 今持っている情報だけでは判断できない時にユーザーに向けてインタビューをして裏を取る姿勢が紳士的だと思います。(デザイナー)
  • 申請機能のPdMを、いろいろな部署に積極的に関わってゴリゴリ進めてくれています!(エンジニア)
  • 周りの意見を受け止めてから、futosiさんの意見を伝えてくれるので、PRDや仕様・文言について、チームから質問や意見を出しやすい雰囲気になっている(エンジニア)
  • 小さな指摘でも真剣に取り合ってくれて、落とし所が決まるまで議論させてくれるところ。あと坊主頭なところ(QA)
  • エンジニアからのツッコミに対してもまず一旦受け止めてから自分の意見を言ったり、デザイナーからの質問、相談にもすぐに対応してくれるので一緒に働きやすいです(デザイナー)
  • プロダクトがより良くなるためなら出来上がっていた機能も捨てる!(エンジニア)

岸:メンバーからの印象も、お客さまの意見をちゃんとプロダクトに反映しているとの声も多いですね。

中村:ありがたいですね。「プロダクトがより良くなるためなら出来上がっていた機能も捨てる」っていうのは良いのか悪いのかって感じですが...。 今も捨てようか悩んでいる機能があるので、お客さまの声を聞いたりデータを見てみて最終判断が必要ですね。

岸:「SmartHRの7つのミッションの中で、futosiさんにいちばんピッタリだと思うものを1つ選んでください」という設問でも「人が欲しいと思うものをつくろう」が一番人気でした。

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自身とプロダクトのこれからのチャレンジについて

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岸:では最後に。futosiさん自身がこれからチャレンジしたいことについて聞かせてください。

中村:ではまず私個人のチャレンジから。クロスファンクショナル化という観点で、QAをやったり、文言修正といった簡単なコード変更をしたりしているのですが、今後もより開発の領域に足を踏み込んでいきたいと思っています。チームがスムーズに開発をできるよう、サポートできるPdMになりたいですね。

岸:ありがとうございます。ちなみに、開発領域に踏み込んでいきたいのはなぜなんですか?

中村:この業界に関わるきっかけでもあったように、自分で手を動かすのが好きなんだと思います。エンジニアになりたいとまでは思っていませんが、少し心残りがあるのかもしれないですね。

またプロダクトとしてのチャレンジですが、「従業員から楽に効率よく情報を収集する」という価値を提供する申請機能として、従業員のあらゆる申請をすべてまかなえるようにしていきたいです。申請機能によって蓄積された従業員の情報をいかに活用するか、連携するかを考えていきたいですね。最終的には、労務担当者が公園で遊べるぐらい(※)業務から開放された世界を作りたいですね(笑)。

※インタビュー当時に放映されていたCMに登場するシーンのひとつ

最後に

いかがでしたか?大規模なプロダクトになってきた「SmartHR本体」において、チーム全員がプロダクトと向き合い、いかに早くお客さまへ届けられるかは今後さらに大事になっていくと私も考えています。クロスファンクショナルなチームになるための取り組みはぜひ私も真似したいと思いました。SmartHRのPdMのリアルな姿をお届けできていたら嬉しいです。

ではいつもの。SmartHRは組織としてもプロダクトとしてもまだまだ未完成です。 課題もやることも盛り沢山。一緒にやっていきな仲間を絶賛募集してますので、 興味をお持ちいただけた方は、ぜひご応募ください。

open.talentio.com

さて、次回は同じく「SmartHR本体」のPdMである私のインタビューです!大企業からベンチャー企業への転職、アジャイル推進室としての取り組みなどについて有意義な内容をみなさまに届けられるようしっかり準備して臨みたいと思います。乞うご期待!